昨年の日本の経常収支黒字額は32.2兆円に達し、過去最高を記録した。だが中身を見ると、かつての貿易黒字大国の姿はすっかり影を潜め、貿易・サービス収支は4兆円の赤字だった。デジタル関連のサービス収支赤字が拡大基調にあるうえ、イラン情勢の混迷を受けて原油が大幅に値上がりしていることを考えると、今年の同収支の赤字幅はさらに拡大する可能性が高い。
一方、現在の日本の経常収支黒字を支えているのは、41.8兆円にも上る第1次所得収支の黒字(主に日本企業の海外子会社の利益)である。そして、こうした国際収支構造の変化によって、経常黒字が日本経済に持つ意味合いは大きく変化している。
まず最大の変化は、貿易収支の黒字は為替レートが円高になることにつながりやすかったのに対し、所得収支の黒字はそうではない点である。製品輸出では、代金は外貨で受け取る一方、賃金や原材料費などの費用は国内に円貨で支払う場合が多い。このため、輸出企業は外貨を売って円を入手する必要がある。その結果が外国為替市場での円高圧力となる。
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