中国にとって米中首脳会談は、対立を解消する場というより、対立を管理し、自国に必要な時間を確保する場である。対米関係の安定は目的ではない。中国が求めているのは、自国の発展と安全を支える国際環境である。アメリカとの衝突を避けながら、経済成長と技術自立を進め、国際環境の悪化に備える。その猶予の中で進むのが、人民解放軍の近代化である。
人民解放軍は、どれほど強くなったのか。この問いは、米中関係や台湾海峡情勢を考えるうえで避けて通れない。同軍は、西太平洋における米軍の展開を監視し、制約しうる能力を増強している。
軍高官の粛清と軍の強化は矛盾しない
だが人民解放軍を「強くなった軍隊」とだけみるならば、中国政治の本質を見誤る。習近平氏は強い軍隊を必要としている。しかし、強くなった軍をいかに党の意思に従わせ続けるかという課題を抱えている。近年、人民解放軍では軍高官の失脚が相次ぐ。軍事力の近代化と軍内粛清は矛盾しない。むしろ両者は、指導部の構造的課題を映し出している。
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