こうした点は、「売れればOK」という考えで乗り切れる、民間企業のビジネスとは異なる。人生に直結するからこそ、有権者は「1票を託して大丈夫な相手か」を見極める。選んでもらうには、暮らしが良くなる明確なビジョンを示す必要があり、また「借り物ではない、自分自身の言葉」が判断基準になってくる。
党首だけでなく"赤い小魚"にも光を当ててこそ
このように考えると、たとえ支持者から広がったムーブメントであっても、すでに存在するキャラクターや、その世界観に乗っかるのは、あまり得策だとは言えない。
たとえ権利処理がしっかりしていても、政治家がビジョンを語る仕事である以上、「他人任せ」が透けて見えると、バッシングの対象になりかねない。つまり権利うんぬんは、あくまで表面的なことにすぎないのだ。
では、具体的にどのようなプロモーションを行えばいいのか。やはり党の“中の人”が、しっかりアピールしていく必要があるのだろう。しかも、党首のような目立つ存在だけでなく、常に新たな人材を表に出す必要がある。
『スイミー』の主役はあくまで、“目玉”の役割を担った黒い小魚のスイミーだ。本来であれば、一緒に“大きな魚”を形づくる赤い小魚たちにも、それぞれの生き様があるはずだが、作品でそこまでは描かれていない。それでも許されているのは、あくまで絵本というコンテンツの世界だからだ。
一方で政党はチームであり、党首だけでは成立しない。つまりは、仲間一人ひとりにもしっかり焦点を当ててこそ、大きな存在を演出できるのだ。その点においても、安易に『スイミー』になぞらえるのは、要注意だと言えるだろう。
