学校は、児童生徒が学校の管理下にある間、その生命・身体の安全を確保する義務を負う。法的に見た場合、一般に学校の安全配慮義務、安全保持義務などと呼ばれる義務である。
この義務は、学校が教育活動を行うにあたり、学校の設置者が、児童生徒の生命・身体に危険が及ばないよう、事故を予見し、回避するために必要な措置をとる義務と定義することができる。実務においては、しばしば教員、学校側の注意義務として論じられる傾向にある。
文部科学省の資料等は、事故防止のため事前調査や危険回避措置を求めており、実務上は予見可能性、回避可能性が問題になると考えられる。
学校事故の文脈では、学校は単に授業を実施するだけではなく、その前提として教育活動に内在する危険から生徒を守る立場にある。この点、文部科学省は、学校事故では、教育活動に内在する危険から生徒を守ること、すなわち安全確保・保持が中心であると整理した。また、判例上、教員をはじめとする学校側には、生徒を指導監督し、事故の発生を未然に防止すべき一般的な注意義務があるとしている。
この義務は、校内での活動にとどまるものではない。修学旅行、遠足、部活動、校外学習など、学校の管理下にある教育活動にも当然及ぶ。
この点、学校保健安全法は、学校における教育活動が安全な環境で実施されることを目的に掲げており、各学校には危険等発生時対処要領、いわゆる危機管理マニュアルの作成を義務づけている(1条、29条)。
アクシデントの可能性が高い「非日常の世界」
裁判例を俯瞰すると、遠足や修学旅行等、学校外での活動に関わる事案が多いことに気付く。引率に当たる教員はもとより、児童生徒にとっても「慣れない場所」、しかもルーティン化された校内の学習とは異なった「非日常の世界」である。想定外の事態、アクシデントが起きる可能性は、より高いものとなる。
この非日常性については、今回の事故を受けて文部科学省が発出した、「学校における校外活動の安全確保の徹底等について(通知)」でも示唆されている(令和8年4月7日付け8文科初第58号)。
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【過去の判例が示した学校の「現地調査と告知」の責任】
