ただし、こうした移動平均乖離率が大きいという危険信号は、移動平均線自体が急上昇しているので、株価下落だけでなく、「日柄調整の高値保ち合い」(株価が高値圏でモミ合い、日数が経過すること)でも消えることを銘記しておくべきだ。
したがって、AI関連などで偏りの大きい指数である日経平均には、典型的なリスクが蓄積しているのだが、マーケット構造から見ると、「もう天井だ」と決めつけることができないもどかしさがある。
「短期は加熱」でも「長期は本物」の2面性
今の日本市場ではAIテーマ関連株への資金集中が極端化しており、テーマが変わった瞬間に指数が一気に崩れる脆さを含んでいる。市場の健全性としては危険だ。
AI需要そのものは本物でも、株価の上昇ペースはそれを上回っている。半導体装置の受注は総じて横ばい程度でデータセンター投資も一部は減速気味なのだが、「AI向け需要が堅調」という一言で株価が跳ねる。
これは2000年のITバブル時に企業が「今後のわが社のインターネット戦略は……」などと言えば株価が上がった構図と酷似している。「AIデータセンターの電力需要」が大きいとして電力株が買われ、「AI関連施設の土地需要」で、物件を持ってもいない上場REIT(不動産投資信託)まで買われた。
もちろん一部は実需だが、AIと名がつけば買うというこじつけ買いが増えているのは明確な過熱サインだ。特に日本はアメリカの後追いで、アメリカの半導体・AIインフラ企業が失速すると、日本はそれ以上の波乱になる恐れがある。
それでも、即天井と言えないのは、AI実需は確実に存在し、企業の設備投資は継続しているからだ。日本ではAIインフラの裾野が広く、特に昨今の「フィジカルAI」関連での人気では、キーエンスやファナックなど、AI人気以前から市場に信頼されてきた企業が指数を押し上げている状況では、まやかしとは言いにくい。
つまり「短期は過熱」でも「長期は本物」という2面性がある。
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