④の業界慣習服従型とは、「業界の常識」を疑わず、慣行に従い続けるというもので、その典型例は「この業界はそういうもので……」という表現として表れます。
これは老舗・大企業・規制産業に多く、「業界の常識」「前例」「慣行」が判断基準になり、自社の意志による問い直しが起きないという特徴があります。
「なぜそうするのか」と聞かれて「昔からそうだから」「他もそうしているから」としか答えが出てこないときは、意志ではなく慣習が判断を動かしている可能性があります。
そしてこの状態でAIを導入すると、AIは慣習を自動化・維持する道具になりやすくなります。
AIで好ましくない判断が増幅される
⑤のドーパミン駆動型とは、すぐに成果が見えやすい短期の数字・話題への反応で動くというもので、この軸で動くと、長期の意志が霞んでしまいます。
四半期ごとに戦略の重心が変わり、「バズったので」「トレンドなので」という言葉が会議で頻出。3年後の話よりも今月の話題の方が熱量が高い状態が続くようなら要注意です。
この状態でAIを使うと、短期的な刺激のサイクルがさらに加速してしまいます。
⑥の成功体験固執型とは、かつての成功パターンへの執着が、現在の意志判断を歪めるというものです。判断の際に、「前回はうまくいったので……」というのが最優先基準になっていないでしょうか。
この判断軸は成功した経営者に多く、かつての成功パターンへの執着にとらわれていると言えます。
しかしAIの時代は変化が速いため、過去の成功体験の賞味期限も短くなる傾向にあります。この型にはまった経営者がAIを導入すると、過去の成功パターンを超高速で再現する方向に使われやすく、危険も伴います。
いかがでしょうか。ここまで、経営者がはまりやすい6つの他人軸について、説明してきました。
完璧な分類ではないかもしれませんが、思い当たることがある、という経営者の方も多いのではないでしょうか。
経営者の意志があいまいなままに大規模にAIを導入すると、その時点で経営者がとらわれている「他人軸の判断」がシステムに組み込まれます。
これをあとから軌道修正するコストは、人間だけで動いていた場合よりも大幅に高まります。
逆に、意志がクリアになると、何をすべきかが自然にわかるようになります。そしてAIは、その意志を最大限拡張してくれるのです。
