不登校の当事者と学校現場、双方と関わる教育センター指導主事の生沼夏郎氏はこう話す。
「不登校のお子さんや保護者には、『先生に申し訳なくて』と言えずにいることがたくさんあります。一方、先生も『不登校傾向の生徒に柚子の木を勧めたら、“教室に自分の居場所はない”と思わせてしまうのではないか』と悩んでいるので、両者のクッションになるのが私たちの役割。柚子の木やスリジエなど頑張れるルートがいくつもあると知ってもらえたら、不登校で悩んでいるお子さんの安心につながると思うので、今後はさらなる不登校対策の周知とDo(実行)を進めていきます」(生沼氏)
黒沢氏の「不登校は赤信号。日頃の遅刻や欠席などの黄信号をいかに拾うかが重要」という高尾山学園での知見を基に、豊島区では児童生徒の実態把握にも力を入れている。
これまでも学期ごとの不登校実態調査は区独自で実施してきたが、26年度からは校務支援システムを活用して日々の出欠を月ごとに集計し、不登校傾向を把握できるようにする。さらに、これまでは教職員しか出欠記録のデータベースにアクセスできなかったが、26年度からは不登校支援員とSSWにも閲覧権限を拡大し、小さな変化をリアルタイムで確認できるようにした。
一丁目一番地は「不登校の未然防止」
こうした一連の取り組みがうまく回り出しているので、学びの多様化学校の設置については、現状を見ながらその必要性を判断していくという。今後の取り組みについて、木田氏は次のように語る。
「豊島区不登校対策総合計画にも明記されていますが、一丁目一番地は不登校の未然防止。学校の居心地がよくなければ不登校は減らないと思っています。わかる授業を始めとした魅力ある学校づくりを行っていくこと、そしてSSRに通う子どもたちの学習保障をどうしていくかといった点は大きな課題です」(木田氏)
不登校対策総合計画を絵に描いた餅に終わらせず、“Do”が何より重要だという強い認識がそこにはある。学びの多様化学校の先駆けである高尾山学園の知見も参考に動き出した豊島区の不登校対策は、今後さらに加速していくはずだ。



