黒沢氏は、実は高尾山学園の現役校長だった24年度から豊島区の不登校対策委員会のメンバーとして、26年4月に公表された「登校支援に関する基本的な考え方(豊島区不登校対策総合計画)」の策定に携わってきた。
「高尾山学園の知見も入っており、モデルとなるようなプランができたと思います。今年度からは、このプランを実際に動かしていくのが僕のミッション。現場に行くと、不登校対応に迷っている教員や支援員は多いと感じます。とくに教員の寄り添い方で不登校の状況は変わってきますので、伴走者としての対応について伝えていきたい。また、保護者向けの相談対応なども実現していきたいと思っています」(黒沢氏)
子どもの段階的な「リスタート」を後押し
豊島区では、教育支援センター(適応指導教室)、通称「柚子の木教室」(以下:柚子の木)を起点に、子どもの“リスタート”を段階的に支援する仕組みも整い始めている。
柚子の木は、さまざまな理由で学校に行けない小中学生の一時的な居場所だ。JR目白駅や東京メトロ雑司が谷駅、都電鬼子母神前駅という3駅からアクセスでき、さらに無料でお弁当を提供するなど、子どもたちが定期的に通える環境となっている。「登録者数は約70名、昨年度末は20名ほどが毎日通っていた」と木田氏は言う。
「柚子の木は一時的な避難場所なので、子どもたちが自分のペースで過ごせる環境となるよう心がけています。エネルギーが貯まったら、柚子の木で行っている学習活動や体験活動、宿泊体験に参加し、さまざまな体験を積んでいきます。それを機に、学校に復帰した子や定期的にSSRへ通えるようになった子もいます」(木田氏)
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【「スリジエはユートピアではない」の真意】
