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ビジネス #ソニーグループ 次の「一手」

「プレイステーションネットワーク」生みの親が描く、デジタル・AIを活用したソニー未来予想図

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ソニーグループのデジタル戦略の最高責任者を務める小寺剛氏(撮影:尾形文繁)

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生成AIの急速な進化により、ビジネスのあり方が大きく変わろうとしている。ゲーム、音楽、映画などエンターテインメントを主戦場をとするソニーグループにとっても、AIの進化は他人事ではない。
ソニーの株価は2025年11月に4776円の高値をつけて以降、5カ月弱で約35%下落し、足元で3100円台となっている。背景には、AIによって生成できるコンテンツのクオリティが上がってきており、ソニーが抱えるIP(知的財産)の価値に疑問を持つ投資家が増えていることがあるとされる。
AI全盛の時代に、ソニーは自らの価値をどう定義するのか。ソニーグループでCDO(最高デジタル責任者)を務める小寺剛氏に聞いた。

――AIがビジネスにもたらす影響について、どう考えていますか。

AIは人間をエンパワー(力を与える)し、ビジネスを強化するもので、決して人に取って代わるものではないと考えています。コンテンツにしても、事業にしても、ゼロからイチをつくるのはやっぱり人間なのでしょう。

そこで重要なのは、人間が創造性を生かしてゼロから作ったものを、10や100、あるいは万や億の規模へ拡大させていくときに、AIを含めた技術をいかに使いこなせるか、ということです。

ソニーではガードレールをきちんと作った上で、チャットベースだけではない、日常業務にインテグレート(統合)する形で使えるAIをすでに提供しています。

このプラットフォーム上では、実は世の中である程度知られている140以上のAIモデルを提供していて、グローバルでは6万人ぐらいの社員が実際に毎日使っています。

AIで効率化し、クリエーターは創造に集中

――ずいぶん大規模ですね。

エンジニアや、人事総務、経営企画など、それぞれの使い方に適した高性能なモデルが必要な場合がある一方で、ケースによっては性能を抑えつつ、コスト効率よくやった方がいいという場合もあります。こうしたことをいろんなAIに接して使いながら学んでいく必要があると考えているからです。

また、エンタメの領域ではクリエーターがクリエーティブな仕事をするときに効率化できるところは効率的にできるようにすることで、創造性をはたらかせるべきところに集中できるようにすることを目指しています。

そのためのAIや技術的ツールの適用ではすでに社内外のクリエーターと実証実験を進めており、今後も加速していきます。

デジタル技術活用の観点では、ほかにも、「エンゲージメントプラットフォーム」や、「ポリネーターネットワーク」といった取り組みを推進しています。

――「エンゲージメントプラットフォーム」とはどういうものなのか、教えてください。

どこから説明しましょうか(笑)。まず、ご存じのとおり、ソニーグループは多様な事業を展開しており、ゲームや音楽、映画など多くのIP(知的財産)を供給しているので、顧客側と直接の接点を多く持っています。

さらに、それぞれの事業を通じてクリエーター側とも接点があります。顧客とクリエーターの双方と多数の接点があるのがほかのエンターテインメント企業と異なる、ソニーのユニークなところです。

エンゲージメントプラットフォームでは、顧客とクリエーター双方に持っている接点同士を、より効率的、効果的につないでいくことを狙っています。そのための技術や、ケイパビリティを提供していきます。

――名称にもなっている、エンゲージメント、とはどういう意味ですか。

今の世の中は、単なる消費から、好きなものを徹底的にいろいろな形で追求する「エンゲージメント」へとシフトしていると考えています。「沼にはまっていく」とか、「推し活」のような表現も増えていますよね。

メディア業界でストリーミングサービスが普及したことで、顧客は好きなコンテンツやジャンルに継続的に接することができる環境が整いました。自分が好きなものや、好きになるであろうものをディスカバー(発見)しながら、コンテンツと広く、深く、長く接するようになっています。

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