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「相手の親に言ってほしい」…なぜ子どものトラブルで学校に電話する?家庭同士の"調停機関"と化す学校

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リビングで電話する女性
(写真:Graphs / PIXTA)
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実際には、相手の家庭に伝わったことで、かえって問題がこじれることがあります。問題は、相手に伝わっていないことではありません。伝わっても、同じようには受け止められないことなのです。

そこには、事実の食い違いだけでなく、家庭ごとの価値観、教育観、許容範囲の違いがあります。同じ出来事でも、ある家庭では「危ない」と受け止め、別の家庭では「そのくらい普通」と受け止めることがあります。

この状態で学校が間に入ると、学校は事実確認者ではなく、異なる家庭教育観の仲裁者になってしまいます。しかし、学校は家庭教育観の調停機関ではありません。間に入った学校が、双方から「正しく伝わっていない」「相手に甘い」と責められることもあります。

もちろん、暴力や危険行為、いじめが疑われる場合、けがや金銭、物損が絡む場合は、きちんと対応する必要があります。

ただ、最初から「相手の親に言ってください」と学校に求めると、学校は慎重にならざるを得ません。その瞬間、学校は「相手家庭への抗議の代行」を求められている形になるからです。

学校は、事実確認をする立場です。必要に応じて、子どもに指導する立場でもあります。学校生活への影響を見取り、安全を確保する立場でもあります。

しかし、親の怒りを相手家庭に届ける伝言係ではありません。本来考えるべきことは、「この子が明日も安心して学校に来られるか」です。

学校外トラブルが学校に持ち込まれる理由

学校外トラブルがこじれやすいのは、責任の境界が曖昧だからです。

学校内で起きたことであれば、学校が状況を確認しやすい。教師が見ていたり、周囲の子どもから話を聞けたりします。しかし、登下校中、下校後、公園、友達の家、学童、オンライン上で起きた出来事は、学校が直接見ていないことがほとんどです。

それでも、学校生活には影響します。ここが難しいのです。

保護者からすれば、「同じ学校の子同士のトラブルなのだから、学校で対応してほしい」と思います。一方で学校からすれば、「学校外の家庭間トラブルを、学校がどこまで引き受けるべきなのか」と悩みます。

ここを曖昧にしたまま学校が抱え込むと、学校は家庭間トラブルの処理機関になってしまいます。一方で、学校が「学校外なので関係ありません」と切ってしまえば、保護者の不信感は強まります。

だからこそ必要なのは、門前払いでも丸抱えでもありません。役割の整理です。

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【学童、LINE、ゲーム、犯罪性のある事案の境界線】

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