「母性神話」。まさに女性は長らくこれに縛られてきた。もちろん母も子どもも尊い。けれど、少子化の歯止めがきかず、ともすれば、たくさん子どもを生むことが求められそうな今こそ、妊娠、出産の選択権が大事になってくるのではないだろうか。
悪事に性別は関係ないという筆致に理性を感じる
哲也はアサの愛をつなぎとめようと騙し討ちのように子どもを作る。やがてその因果が当人に報い、沙也香の罠にハマってしまう。今度は沙也香に自分がアサにしたことと同じーー無理やり子どもを作られてしまうのだ。
昭和の時代のドラマでは、「赤ちゃんができたから責任をとって」と女性が男性に迫るような描写がよくあったが、「産まない女は〜」では夫が妻を騙して妊娠させてしまうところまでエスカレートする。そして夫は妻以外の女性に嵌められて……。
男性が悪いとか、いや女性だってとか、男女を分断させるのではなく、悪事に性別は関係ないという筆致に理性を感じてホッとする。
男女共に自分の意思に反する他者の介入は拒むべきで、自分の意思は守られねばならない。しかし、生まれた子ども自身は自分の意思で親や境遇を選べない。それが親ガチャだ。アサは親ガチャに外れたから、子どもを持ちたくないと思っている。自分も母のように子どもにひどい仕打ちをしてしまうのではないかと恐れるからだ。
実家の母親と、彼女の行きすぎた母性のせいで引きこもっている弟・直樹(増子敦貴〈GENIC〉)など、迷い多き人たちばかり。
登場人物が全員、最後には望んだ選択ができることを願わずにはいられない。
