例えば、2024年の9月17日、東京新聞のWEB版にこんな記事が掲載された。
《「母体保護法」を巡り、健康上の問題や配偶者の同意がなければ不妊手術が受けられないのは憲法違反として、20〜30代の女性5人が国に損害賠償を求めて訴訟を起こし、争っている》
配偶者の同意なくして不妊治療ができる国もあるが、日本ではそれが認められていない。だがいまや、リプロダクティブ・ヘルス/ライツが注目され、産む、産まないのみならず、子どもを持つ時期、子どもの数など、生殖に関することを自分で決める権利が求められるようになった。
「出産は誰かに強要されるものではない」とか「生む地獄も産まない地獄もありますから」などと含蓄あることを言うのは、アサのシェアサロンに勤めているシングルファーザーの緒方誠士(北山宏光)だ。
哲也の会社の同僚・梨田明(前原瑞樹)は、自身は子どもを持つ意思はないが、パートナーの考えを尊重するつもりだと考えている。哲也の行きすぎた子どもへの執着には懐疑的な目を向ける。
「じゃあつく」にも出演した“引っ張りだこ”の俳優
やや話が逸れるが、前原瑞樹は、今年人気だった冬ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)でもモラハラ主人公をたしなめる理性的な人物だった。今、行きすぎた主人公を相対化する『ちびまる子ちゃん』におけるたまちゃんのような役割として前原瑞樹が引っ張りだこだ。こういうよくできた人が現実でも側にいてほしいものだ。
主要人物が理性や正義の人ではなく、いささか道理から外れていて、それを身近の誰かに注意される。「産まない女は〜」はそういうドラマだ。それにしたって哲也は本当にヤバい。いい人の薄皮を1枚はぐと、自分の愛を貫くために相手を縛る、ストーカー的なところがある。
演じる浅香航大は、番組公式サイトで「僕の演じるてっちゃんの愚かしさは、もはやホラーです」と役を客観視したうえで、「誰もが知らずして『母性神話』の類を振りかざしてしまうことがあり得る。僕も母から産まれた一個人として、能動的に学ぶべきことがあると思いました」とひじょうに真摯に語っている。
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【昭和は「赤ちゃんができたから責任をとって」だったが…】
