「もっと自由に働ける会社がある」「自分を尊重してくれる職場がある」
こうした情報が日常的に流れ込むため、比較対象が無限に存在します。
その結果、上司の指導が少しでも「人格否定」に近いと感じられれば、すぐにハラスメントとして受け止められてしまいます。企業側が「普通の指導」と考えていても、Z世代にとっては「自分の尊厳を脅かす行為」と映ることがあるのです。
ここで問題なのは、Z世代の価値観だけではありません。
むしろ深刻なのは、トラブルを恐れるがゆえに、上司側が萎縮し本音を言えなくなっている現実です。近年、ハラスメントに関する社会的な感度が急速に高まり、企業のコンプライアンス体制も強化されています。その結果、現場の管理職からは次のような声が聞かれます。
「どこまでがOKなのか分からない」「厳しく言うと訴えられるかもしれない」「波風立てるくらいなら、黙っていたほうが安全だ」
こうした心理が広がり、必要な指導が行われなくなっています。
結果として、“厳しくできないからゆるくなる” → “ゆるいから成長できない” → “成長できないから辞める” という悪循環が生まれています。
つまり、ゆるさの原因は、上司が安心して指導できない職場環境そのものなのです。
「これって、私の仕事ですか?」の真意
Z世代は、効率性(タイパ)と自己成長を重視します。
「これって、私の仕事ですか?」という問いは、反抗ではなく、自分の時間を投資する価値があるかどうかを合理的に判断しているにすぎません。ゆるい職場は心理的には楽ですが、スキルが身につかず市場価値が上がりません。その結果、「ここにいても未来がない」と判断し、転職や副業に舵を切るのです。
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【「ゆるさ」は「停滞」】
