道の駅での星さんへの取材後、会津川口駅まで車で送ってくれるというので、その途中、いくつかの撮影スポットに立ち寄ってもらった。2月の奥会津地方は降雪が多い季節である。只見線と並行する国道252号には、ところどころ道路脇の空き地が除雪されている箇所があり、星さんによると「只見線を撮影に訪れる方に配慮して、撮影者のクルマを止められるように道路上の安全確保の一環として除雪を行っている」のだという。
この日は、只見線の運行を補完する「奥会津ぶらり旅」という臨時バスが運行されていた。会津川口駅手前のビュースポットでは、列車の通過時間にあわせてこのバスが立ち寄っており、大勢のインバウンド観光客が只見線の列車を撮影している様子を見ることができた。
協議会の形骸化が課題に
こうして、只見線を目的として多くの観光客が来訪するようになった奥会津地方であるが、今後の持続的な活性化を図っていく上では、沿線市町村で構成される只見線活性化対策協議会が形骸化していることが課題だという。
「協議会では自治体個別の取り組みは行っていますが、全体でまとまって何かをしようという動きがない点が大きな問題です。会津川口駅のある金山町ではJR東日本の退職者を雇用していますが、彼を起点に、協議会の事務局を金山町が引き受け、魂の通った実働組織に育て、国や県JRに対しても具体的に要望し、改善を求め只見線沿線全体での統一的な各種実践活動を活発にしなければ只見線に未来はないと私は考えています。協議会という組織が本気で動くことができれば、国や県を巻き込んだ大きな取り組みや成果も出すことができると確信しています。私自身も残されたわずかな人生をその活動に捧げたいと決心しています」
地方鉄道は活用次第で極めて高い観光資源となり得る。しかし、いざその潜在力を地域振興に結び付けようとすると、優れたアイデアがあってもスムーズに実行に移しにくい現実を筆者は只見線だけではなく日本各地で直面してきた。そこには、国の政策や制度の問題、そしてJR各社の経営姿勢が複雑に絡み合う構造的な制約がある。鉄道の価値を最も理解している地域の担い手がより主体的に関われるような政策を推進していくことが地方創生を考える上では重要なのではないか。
