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ただのパフォーマンスか、政局の新たな火種か? 再審制度見直しでブチ切れ「稲田の乱」が巻き起こす"女の戦い"の延焼範囲

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稲田朋美
司法制度調査会と法務部会の合同会議で発言する稲田朋美議員(中央)(写真:共同)
  • 泉 宏 政治ジャーナリスト
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高市首相の国会答弁を受けて、4月28日に有志議員が開いた勉強会では、再審制度の見直しを求めてきた超党派国会議員連盟の柴山昌彦会長(元文部科学相・弁護士)が、「高市首相は法務省案のまま、冤罪被害者の人権をないがしろにして突っ走ってはいけないという認識だ」と指摘。「(抗告の全面禁止まで)あと一歩だ」と拳を振り上げた。

「抗告は『原則』禁止だが例外は認める」とする法務省の再修正案には、法相経験者でさえ「言葉のトリック。運用で抗告を堅持する内容だ」と反発。有志議連幹部も「出さないほうがマシ」と口をそろえる。

その一方で、法務省と足並みをそろえる形で合同会議を取り仕切る執行部の議員側は「譲る余地はない。議連側が歩み寄るべきだ」と口をとがらせ、「議連側の言うとおりにすれば、治安はぐちゃぐちゃだ。市民が困る」(法相経験者)と強調する。

政府が目指す関連法案の提出はすでに当初予定から大幅に遅れており、「今後の国会日程を考慮すれば、時間的猶予はほとんどない」(自民党の国対幹部)のが実情。党内調整を進める立場の自民党執行部も「現行の再審制度は変えるべきなのに、自民党のせいで見直しができなければ0点だ」と頭を抱える。

ヤジと怒号が飛び交う中心で叫んだ稲田氏

そもそも今回の大論争の発端は、3月24日に開催された自民党の法務部会と司法制度調査会の合同会議における混乱だった。

同会議で法務部会長代理の古庄玄知参院議員が突然、執行部のひな壇席から一般席へ移り、「再審法は人権救済の最後の砦」「もしこのような案が通るなら、国会に対する信頼はなくなってしまう」とまくし立てた。

この怒号が飛び交い机がたたかれ続ける大騒ぎが、自民党の再審論議の号砲となった。党内で「古庄の変」と呼ばれることになり、その後の「稲田の乱」につながった格好だ。稲田氏は党内法務族の中心メンバーで、同じ弁護士出身の元党幹部としてタッグを組む森雅子元法相とともに久方ぶりの表舞台での活動が党内の耳目を集めた。

本来なら法務省の味方になるはずの法相経験者らによる異例の反発について、関係者は「冤罪立証の証拠など、自分たちに不都合な情報を隠したがる法務省・検察庁の組織風土をよく知っているだけに、今回は特段の思いで立ち上がったのではないか」(合同会議事務局)と受け止める。

その後、稲田氏は4月6日の第5回会合で、取材陣による冒頭撮影が終わる直前、突然立ち上がって大声で叫んだ。

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【稲田氏は何と叫んだ?】

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