――25年に厚労省が出した引きこもり支援ハンドブックでは、訪問する際は「本人の拒否がない」ことを確認するよう記載されています。
レンタルお姉さんたちは、拒否されることから始まる仕事だと思っている。そもそも引きこもりの子は判断力が鈍っているから、親にも「お宅の子供さんは必ず拒否しますよ」と話すようにしている。子供は親を拒否していても、レンタルお姉さんが何度も訪問するうちに会えるようになってくる。
これは成功事例というよりも、最初の一歩から次へとつなげる段階だ。その入り口が国の方針で狭まるというのは、非常に問題がある。
――引きこもりの子供を部屋から連れ出し、寮で共同生活させるのは荒療治です。トラブルも少なくありません。本当に自立できるようになるのでしょうか。
9割程度は何とかなっている。家にずっといても何も始まらない。7割以上は自立できるが、明らかに病気や障害を持つ場合は障害者就労や生活保護につないだりしている。たまに親が諦めて家に戻るパターンもあるが、そうなるともう手が出せなくなる。
ニュースタートでは最後まで、本人が自主的に家を出て寮に来るよう粘り強く働きかけてきた。そういう手続きを踏まずに強引に連れ出したり、あるいはすぐに諦めたりする団体が多い。それ以前に、親が子供を他人に預けて家から出すという発想を持たず、家庭内で解決しようとする風潮になっている。
お遍路の文化を支えたい
――二神さんはニュースタートの活動終了後、引退するのですか?
四国88カ所での「お遍路ハウス」を続ける。最近は高齢化もあってお遍路宿がどんどん閉じており、文化を支える人が減っている。お遍路さんの田舎道には空き家がたくさんあるから、それを生かして88カ所のお遍路ハウスを作るプロジェクトを進めてきた。この10年で50軒まで増やしてきたから、88軒まで伸ばしていきたい。
うちが経営するお遍路ハウスもあれば、地元の人が空き家をお遍路ハウスにしたいというケースもあるので、直営とフランチャイズと両方で進める。これから私も半分は四国に住んで進めていく。
お遍路ハウスの管理人には、うちの子たちを送り込むことも考えている。引きこもり系の子には向いている仕事だから、「お遍路ハウスの管理人は悪くないぜ」と声をかけてみようと思っている。
