これは単なるタイヤ試験体験にとどまらない。むしろ正新(チェンシン)ゴム工業(以下、正新)が対外的に発したシグナルといえる。世界市場で不確実性が満ちる中、台湾のタイヤ最大手は、製品力によって自社の成長エンジンを再定義しようとしている。
製品値上げは避けられない
国内タイヤ最大手である正新は、外部環境の不安定化の影響を受け、昨年の売上高は907億台湾ドル(約4500億円)で前年比6%減、1株当たり当期純利益(EPS)は1.5台湾ドル(約7.5円)となった。
今年の見通しについて総経理の李進昌は、「国際政治・経済の不確定要素は依然として大きく、とりわけアメリカの政策動向は予測が難しい。世界のサプライチェーン配置に影響を及ぼす」と、率直に語った。
一方で、長年にわたり構築してきたグローバルな生産拠点により、単一市場への依存リスクを分散できるとし、通年の売上高は前年を上回る可能性があると見込む。ただし、天然ゴムや石化原料価格の上昇圧力を受け、製品値上げはほぼ不可避と見られる。
現在、アメリカ市場は正新の売上高の約1割を占める。アメリカでの工場設立については、依然として慎重に見極めている段階だ。
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【アメリカ工場設立の検討ポイント】
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