東洋経済オンラインとは
ライフ #ほしいのは「つかれない家族」

DVで理不尽に引き離される"親子のリアル" 「法テラス仕事は驚くほどお金にならない」それでもDV被害者を救い続ける弁護士の声

5分で読める
ほしいのは「つかれない家族」
共同親権は平和に共同養育できているならいいのですが……(『ほしいのは「つかれない家族」』より)
  • ハラユキ イラストレーター、コミックエッセイスト
2/14 PAGES
3/14 PAGES
4/14 PAGES
5/14 PAGES
6/14 PAGES
7/14 PAGES
8/14 PAGES
9/14 PAGES
10/14 PAGES
11/14 PAGES
12/14 PAGES
13/14 PAGES
14/14 PAGES
岡村弁護士は、本名アカウントとは別の「小魚さかなこ」名義Xアカウントでも積極的に別居・離婚問題について発信をしている。正体を隠しているわけではないが、別名アカウントにすることで誹謗中傷を受けても心を保てていると言う(画像:弁護士小魚さかなこXより)

筆者は、岡村弁護士にお願いして担当してきた依頼者さんを数人紹介していただきました。お話を聞くと、どのケースもあまりに複雑かつ壮絶。言葉を失いました。その詳細はここには書けないのですが、そのおひとりは、自分だけ家を追い出され、上のお子さんとは会えていても、下の子とずっと会えない状態だったそうです。「私は専業主婦として育児してきたので、子どもと引き離されて身体中のエネルギーがなくなりました。何度か死も考えました」とそのつらさを語ります。

いろんな事情が絡んでその問題は解決できなかったのですが、彼女はこんなことも話してくれました。「岡村先生は私のつらさをわかってくれて、必死で戦ってくれました。ずっと私が悪いと思っていたけど、そうじゃないと言ってくれたんです。それで私は救われました。だから、係争後も、遠方に越してからも、たまに先生に連絡していました。いまは優しい人と再婚もしたんですが、つい先日、8年ぶりに下の子と再会できたんです。先生にLINEで報告したら、『いま私、電車の中で号泣してる。本当に嬉しい』と返事が来ました」

相談先がなく困る当事者

ところで、こういった配偶者による「連れ去り」「追い出し」体験を語る当事者からは、相談先がなくて困ると聞いたことが何度かあります。行政や警察に相談しても、家庭内のことだからと相手にされないと言うのです。そうやって困っているときに、親身に相談に乗ってくれる人は貴重ですが、その人が適切なアドバイスをしてくれるとは限りません。混乱状態かつ法的な知識がない当事者が、そのアドバイスが「自分にとって適切か」を判断するのも、かなりハードルが高いと筆者は感じました。

岡村弁護士は「相談窓口の問題は難しいです。同じ相談をしていても、その人がDVの被害者ということもあれば加害者ということもある。実際、被害者が連れ去りを訴える団体に行って、加害者みたいな人がいると違和感を感じたと話してくれたことがあります。そもそも女性の別居親の場合は人数が少ないので、どこにいっても疎外感を感じてしまう。そういったことは課題だと感じています。とはいえ、子どもの引き離しの前にDV被害を受けていた人は、まずはDV相談窓口に相談してください」と言います。

さらに岡村弁護士は法的手段についてこう補足してくれました。「いま『保全処分(子どもの育児環境にリスクがある場合の緊急措置)』は、家裁のパンクによって機能しなくなっています。よほどの場合でないと動いてもらえない。保全処分が不要なケースでも申し立てされることが多いのもその理由のひとつです。また、今年4月からは『監護の分掌(共同養育)』申し立ても可能になりましたが、その申し立てが当事者の合意なく司法で認められて、かつ子どもにとって有益に働くのは、よほどいろいろな条件が揃ったときのみだと私は考えています」。

次回は、引き続き岡村弁護士のインタビューです。別居・離婚後の親子交流について伺いました。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象