会見では、記者からの質問に対し、まず三浦選手が答え、続いて木原選手が答える流れが基本でした。そこで、同じ質問に対して2人がどのような感情で答えているのか、また、一方の表情変化に対して、もう一方がどのような表情を見せるのかを分析しました。
分析前は、長年ペアを組んできた2人であれば、会見の場でも相手につられるように同じ表情や感情が自然に表れるのではないかと予想していました。いわゆる「ミラーリング」のような反応です。
しかし、実際に分析してみると、2人は同じ感情を同じタイミングで示すというより、片方の反応をもう片方が受け止め、別の形で返しています。
たとえば、木原選手が涙を見せる場面では、三浦選手がやさしい幸福表情で包み込む反応を見せています。一方で、三浦選手が大きな幸福表情を見せる場面では、木原選手が穏やかな幸福表情や、眉を上げる表情で受け止める様子が見られました。
2人の関係性を感じさせた場面
表情分析以外の点でも、2人の関係性を感じさせる場面があります。三浦選手が涙を見せた際、木原選手は自身のハンカチを差し出していました。また、それぞれがマイクを持っているにもかかわらず、木原選手が自分のマイクを三浦選手に渡そうとする場面も何度か見られました。
一方の感情を、もう一方が受け止める。一方が話しているときに、もう一方がその場の空気を支える。ここから、「同じになる関係」ではなく、「補い合う関係」がうかがえます。
これは、ペア競技そのものの特徴とも重なります。ペア競技では、ただ同じ動きをするだけではなく、相手の動き、重心、タイミング、役割を感じ取りながら、自分の動きを調整していく必要があります。つまり、単なる同調ではなく、互いの違いを活かしながら一つの流れをつくることです。
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【言葉以上に雄弁だった非言語コミュニケーション】
