その意味で、今回の会見で見えた2人の表情や反応には、競技生活の中で培われてきた「補い合うコミュニケーション」のあり方が、会見という場にも自然に表れていたように思えます。
それは、言葉だけに限られない、表情やしぐさを含めたさまざまな非言語に関わる深い感情のコミュニケーションです。
未来のコーチ像を伺わせる場面
会見の後半では、「今回の会見に想定回答を用意してきたか」という趣旨の質問がなされました。木原選手は、最初の挨拶は用意してきたと答え、三浦選手もそれに同意します。
この言葉の通り、会見中、質問がなされるたびに、2人は正面から視線を逸らす場面が見られました。視線を逸らす動きは、考えているときに生じやすい行動です。ここから、質問への回答は、あらかじめ用意されたものというより、その場その場で自分の言葉を探しながら答えていたものと考えられます。
しかし、後輩たちに向けた言葉を求められた場面では、様子が少し違いました。視線を逸らす時間が少なく、質問から回答までの時間も短く、すぐに具体的な言葉が出てきていました。
これは、後輩たちに対する気持ちが、日頃から2人の中で具体的なものとして存在していたからではないでしょうか。また、実際に後輩たちに言葉をかけたり、思いを伝えたりする機会を重ねてきたからこそ、自然に言葉が出てきたのだと思います。
自分たちだけのパフォーマンスではなく、次の世代へつなげるパフォーマンス。その意識があったからこそ、後輩たちへの言葉には迷いがなく、具体性が強くあったのではないでしょうか。競技者としての歩みだけでなく、未来のコーチとしての姿も垣間見えたように思います。
競技人生を終えたあとも、お2人がどんな形で新しい未来を重ねていくのか楽しみです。
