メットライフ生命保険から銀行などに出向していた社員が、顧客情報などを無断で持ち出していた問題で、金融庁がメットライフ生命に対し保険業法に基づく報告徴求命令を出していたことが東洋経済の取材でわかった。
メットライフ生命の「スパイ活動」問題をめぐっては3月以降、広島銀行と福岡銀行がそれぞれ、出向者が無断で保険契約者の氏名や契約内容、保険料などの情報を持ち出していたと発表している。
また、きらぼし銀行は4月23日、メットライフ生命からの報告で保管する保険契約の顧客情報が漏えいしていたことが判明したと発表している。
「被害」件数は合計数千件に上る見通し
メットライフ生命では発表されている事案以外にも、出向者などによる顧客情報などの無断持ち出しがあるとみられ、「被害」件数は合計で数千件に上る見通しだ。
持ち出された情報は顧客情報に加えて、銀行窓口における他社生保の販売シェアといった内部情報も混入しているもようで、不正競争防止法における営業秘密の侵害や独占禁止法の取引妨害などに問われる可能性がある。
そもそも出向者によるスパイ活動問題では、金融庁と業界団体の生命保険協会が2024年8月に、生保各社に対して実態調査を一斉に要請。メットライフ生命も調査を実施していた。
ただ、広島銀行などの事例は当時の調査で把握できなかったのか、発表せず、金融庁にも報告していなかった。そうした事態を重く見た金融庁は、今回、報告徴求命令に踏み切ったようだ。
生命保険協会の高田幸徳会長(住友生命保険社長)は、4月17日の定例記者会見で、メットライフ生命について、24年当時の実態調査が「不十分だった可能性がある」と指摘。
生保協会が認定個人情報保護団体であることから、今後メットライフ生命に対して「協会から改めて指導する」考えを示していた。
