今、先進国経済はキャッチアップしてくる後進諸国の経済に立ち往生しつつある。自動車や旅客機などの付加価値の高いハイテク産業の市場でさえ徐々に奪われつつある。だからより高度なハイテク産業へシフトせざるをえないほど追い詰められているのだ。
こうして最後の砦として、付加価値の高いハイテク産業、軍需産業が肥大化しつつあるのである。
アメリカの矛盾多き歴史
軍産複合体のアメリカは、昔から好戦的で、拡大主義をとっていたわけではない。19世紀初めまでは小さな州が集まった、侵略戦争とは無縁ののどかな平和社会であったともいえる。
もちろん17世紀にヨーロッパから上陸した移民から始まったアメリカは、精神的な意味での使命をもっていた。それは、キリスト教を布教することを義務とする使命である。
17世紀、ピューリタンをアメリカに導いた政治家で、後にマサチューセッツ湾植民地の知事になるジョン・ウィンスロップ(1588~1649年)は1630年の演説の中で「City on the hill」(丘の上の都市)という言葉を使い、誰もが仰ぎ見る丘の上の都市をつくり、世界の人々の手本にならねばならないと主張したのである。

これは一種の気高い使命で、選ばれた民として世界に手本を示す理想の国をつくり、それを世界に広めなければならないと誓ったのである。今でもアメリカ人が語る自由と民主主義を世界に広めるという拡大主義のなかにこの言葉は潜んでいる。
しかし、一方でアメリカは小さなコロニーとして始まったことから、小さな世界を守る地域主義的な思想の精神ももっていた。それがアメリカのフェデラリズム(連邦主義)の中に根付いている考えである。アメリカ憲法の冒頭にはこう書かれてある。
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【モンロー宣言の瓦解】
