とはいえ、知っている店ばかりを並べると郊外のショッピングセンターのようになってしまう。そこで大井町トラックスはトレンド感あるテナントとのバランスが絶妙だ。話題性のあるテナントもちょこちょこ挟まれている。
SNSで話題のオムライス専門店「イエロー」には、わざわざ訪れたと思われる人たちが行列を作っていた。豚まんの「羅家 東京豚饅」、「とんかつ檍」なんかも、比較的、話題性のあるブランドだ。
ただ、話題性の高い店も、扱っているものはオムライス、豚まん、とんかつなど誰しもが知るなじみあるメニューであり、さらに高単価ではないことが共通している。話題性が先行する店も、来店の心理的ハードルが低い店ばかりなのがポイントだろう。
「冒険する人」は商業施設に行かない
大井町トラックスを見るに、何度も足を運びたくなり、結果として街に賑わいをもたらす施設にするには、この「安心感」が必要だと改めて思わされる。
商業施設に足を運ぶ人は、もはや話題性を求めていない。施設に行く動機の多くは、「行きたい店が浮かばないけど、あそこに行ったら何かあるだろう」だ。
もちろん、世の中にはトレンドを追いかけて目新しい店に行きたいと思う人もいる。ただ、そういう人たちは「この店に行きたい!」と思ったらその店にめがけていくので、施設内である必要がない。
秀逸なテナントセレクトで、多くの人にとって開かれた場所になっていた大井町トラックス。「初上陸」「初出店」などの話題性で集客する時代は、もはや終わりつつあるのかもしれない。
話題性先行のテナントを揃えた商業施設が食傷気味の中、今後の新たな商業施設のロールモデルとなりそうだ。
