2月の衆院選で見せた自民党のあの勢いは消えてしまったのか。
いや、高市内閣の支持率は依然として高いままだ。にもかかわらず、3月8日の石川県知事選では自民党と維新が推薦した現職の馳浩氏が落選。投票日の1週間前に高市首相が応援のために金沢入りしたが、元金沢市長の山野之義氏に6110票差で及ばなかった。
また4月12日の練馬区長選では、自民党、国民民主党、都民ファーストの会と東京維新の会から推薦を受けた尾島紘平氏が、吉田健一氏に3万3029票の大差をつけられ落選した。尾島氏は小池百合子東京都知事の国会議員時代の秘書で、都民ファーストの会では幹事長を務めてきた。小池知事は尾島氏の応援のため、2度練馬入りした。
石川県と練馬区のケースは、相手候補が前回の選挙で惜敗している点が共通する。22年の石川県知事選では山野氏は馳氏に7982票差、練馬区長選で吉田氏は前川燿男前区長に2143票差まで肉迫した。そして4年の間にため込んだ勢いに、政党による推薦は意味を失った。
動き始めた「脱大政党」「脱権威」
「脱大政党」「脱権威」といった流れが進みつつあるという事実もある。そもそも2月の衆院選で高市ブームが沸き起こったのは、派閥や裏金問題といったかつての自民党のイメージとは異なったものを有権者が感じ取り、期待したからにほかならない。
また、選挙直前に立憲民主党と公明党が結成した中道改革連合は有権者に浸透せず、代わって伸ばすはずだった国民民主党や参政党は前年の参院選ほどの勢いに欠けた。こうした野党の地盤沈下が、「高市一強」を際立たせた。
要するに、野党との対比において自民党は浮かび上がり、かつての自民党との対比において高市首相が浮上した。それを左右するのは、実体ではなくイメージだ。だから、生活に密着した地方の選挙では影響力が小さくなる。衆院選での自民党圧勝を是正しようという動きもあったに違いない。
国政と地方選挙は相互に関係し合っている。こうした首長選の動きが、次の国政選挙にどのような影響を与えるのか。それを占う統一地方選は来年春に迫っている。
