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工事中に落盤事故も「鉄道は最短距離で人々を運ぶもの」と信念貫く…近鉄「奈良の廃トンネル」封鎖60年の意外な現在

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廃線トンネル内で熟成されているワイン
廃線トンネル内で熟成されているワイン(写真:筆者撮影)
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広告会社が知識も技術もなしにこういった事業に取り組むことは異例だ。だが、コロナ禍という世界を揺るがす災いの中では「とにかく、やろう!」の精神が優った。

音川さんはアイデアを思いつくたびに、「飲料水のペットボトルって、どこに頼めばいいのだろう」「そもそも、しいたけの栽培方法は?」などと、イチから調べていった。しかし決定打がなく、なかなか方向性が定まらないまま、半年間ほど右往左往した。

「グラフを二度見した」測定データが示した可能性

光が見えた発端は、音川さんがトンネル内の環境データを測定したことだった。

電波が届かないため、数カ月ごとに回収してデータを確認すると、年間を通じて温度が約16.7℃で安定していることが判明したのだ。湿度については、設置当初は70%程度だった数値が日に日に上昇し、最終的に約98%という異常なほど高い数値で安定していることが分かった。

「グラフを思わず二度見しました。そして、『こんなに湿度が高い場所で何かするなんて、大丈夫かな』と心配になりました」と音川さん。

訪れた際は温度16.5度、湿度は92%だった(写真:筆者撮影)

だが、こういった高湿度で温度変化が少ない環境は、ワインや日本酒などを保管する熟成庫として機能する可能性が十分にあると気づく。調べてみると、トンネルをレンタルワインセラーとして活用している例があった。そこで、トンネルを地域の酒の「天然の熟成庫」とし、地域活性のブランディングにつなげる方法を思いついた。

この活用法は、初期費用や維持費を低く抑えられる点で、管理する近鉄や上司の許可も得やすかったそうだ。

こうして、旧生駒トンネルでの貯蔵庫計画が動き出したのである。

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【価値を生み出すために…地道な営業活動を続ける】

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