慢性炎症は、外敵がいないのに、戦う細胞が攻撃を続けている状態です。その火の粉は、周りの細胞に降りかかります。長期にわたれば、ダメージが少しずつ蓄積し、細胞のはたらきがさらに低下していきます。すなわち「体の老い」が進んでしまうのです。
SASP(サスプ)が起こす、老化細胞増加の悪循環
最近の研究では、老化した細胞は、分裂を止めて静かに存在しているだけでなく、炎症を引き起こす物質や、ほかの細胞の老化を促すような物質を周囲に放出することがわかってきました。これを「SASP(細胞老化随伴分泌現象)」といいます。
本来SASPは、免疫細胞を呼び寄せ、老化した細胞を取り除くのを助けていると考えられます。しかし、加齢などによって免疫のはたらきが弱まると、SASPが持続し、慢性炎症が起こるだけでなく、炎症以外の仕組みを通じても、老化細胞を増やしてしまうという悪循環につながるのです。
【原因③その他の機能低下――「細胞の基礎力」が弱る
細胞は毎日、細胞の中で使い古された「部品」を壊し、新しい部品に入れ替えています。この新陳代謝が順調に進むことで、細胞は元気な状態を保っています。それを支えているのが、次のような「細胞活動の土台」となる機能です。
・オートファジー(細胞内の掃除とリサイクル)
・幹細胞によって、新しい分化した細胞が補充される仕組み
しかし、加齢やストレス、睡眠不足、食生活の乱れ、慢性的な炎症などが重なると、この土台の力が低下しやすいことが、多くの研究で示されています。その結果、細胞の部品の入れ替えが追いつかなくなり、細胞は元のようにはたらけなくなると考えられます。
これもまた、細胞の老化が進む重要な原因のひとつです。

