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60歳を過ぎると自覚する人が増加…「老い」を感じたとき、体の中でひそかに進行している《細胞の老化》の3大原因

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体の老いは、気づかないうちに静かに進んでいるという(写真:sakura/PIXTA)
  • 松藤 千弥 東京慈恵会医科大学学長、医学博士
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【原因②】分化の異常――「専門家」を育てる仕組みが乱れる

体の中には、まだ役割が決まっていない細胞があります。その代表が「幹細胞」です。幹細胞は、必要に応じて分裂し、それぞれの役割を持つ細胞へと育っていきます。この過程を「分化」といいます。

たとえば、骨の中心部にある骨髄には「造血幹細胞」という細胞があります。それが分化することにより、

・酸素を運ぶ赤血球
・細菌やウイルスと戦う白血球
・血を固めて止血を助ける血小板

といった専門家が次々と育っていきます。本来、この分化の仕組みは非常に精巧で、体の状況に合わせて、どの細胞を、どれだけ、いつまでつくるのかが、細かく調整されています。ところが、加齢やストレス、生活習慣の乱れなどによって、この調整機能が弱くなると、分化に乱れが生じます。

その結果、

・本来とは違うはたらきをする細胞が生まれる
・必要な細胞が十分につくられない
・特定の細胞が必要以上に育ち続ける

といった異常が起こりやすくなります。

分化の乱れが「慢性炎症」を招く

分化の乱れの中でも、特に影響が大きいのが白血球などの免疫細胞です。

免疫の仕組みも、とても精密にできています。外敵が体内に侵入すると、それに対応する戦う細胞(白血球)が増えます。その結果、侵入した場所では、戦う細胞が外敵を排除する反応、すなわち「炎症」が起こります。

危険が去れば、その増加は止まり、炎症も自然におさまっていきます。この「必要なときに、必要なだけ」細胞を増やす仕組みを支えているのが、分化の調整機能です。

ところが、加齢などによってこの調整がうまくいかなくなると、外敵がいないにもかかわらず、戦う細胞が増え続けてしまうことがあります。その結果、本来なら短期間で終わるはずの炎症が長引き、慢性炎症が起きてしまうのです。

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【長期にわたると、細胞のはたらきがさらに低下】

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