AIの文章は当然ですが、子どもの体験にも、気持ちにも基づいていません。そのため、子どものなかには必ず、AIの出した答えに対する違和感があるはずです。
大切なのは、その違和感を大切にすること。違和感をきっかけに、子ども自身が考えられるようにすることです。
「ここは、自分で書きたい」その気持ちが成長のカギ
前述のような違和感を刺激する質問は、AIの回答を「絶対的な正解」としてではなく、あくまで「検討材料の1つ」として捉え直すことにつながります。
「あのときみんなで捕まえたカニの話も書きたい」
「波に流されないように、お父さんにしがみついたんだった。あれが楽しかった」
などと子どもから自分の感想が出てくれば上々です。そこで続けて、
「その場面、どんな気持ちだった? ちょっと怖かった? それともワクワクした?」
と問いかけてみます。すると、「最初は怖かったけど、あとから楽しくなった」と答えてくるかもしれません。
「じゃあ、その“気持ちが変わったところ”を書いてみると、読んだ人に伝わりそうだね」
と、さらに言葉をつなぎます。そのうえで、
「書き出しはAIの文章のままでもいいけど、今話してくれたところは、自分の言葉で足してみたらどうかな」
と促してみます。すると子どもは、
「ここはAIの文でいいけど、ここは自分で書きたい」
「この表現、ちょっと違うから直したい」
と、AIの文章を選び、比べ、手を入れるようになるでしょう。
このやり取りを通して、子どもはAIを「そのまま使うもの」ではなく、自分の考えを表現するために取捨選択する材料を出してくれる相手として扱うようになります。
こうした親子の対話こそが、AIに振り回されないで、AIをうまく使える子を育てる土台になっているのです。
親との対話を通じて、自分の「主体性」というフィルターに通してからAIを受け入れられるようになれば、AIは子どもの主体性の芽を摘む障壁ではなく、より伸ばしていくためのパートナーになるでしょう。
この一手間を加えるかどうかが、自律した人間になれるかどうかの分かれ道なのです。

