アップルが報告書で示しているのは、徹底的に自社設計の指標群だ(アップルは、元々、欧州などが求めている環境指標のはるか先を行っており、自社設計の指標を使っていた)。
15の優先素材(アルミニウム・コバルト・リチウム・チタン・タングステンほか)それぞれについて、リサイクル素材比率を年次追跡する。製品一台あたりのカーボンフットプリントを算出する。水の再利用率、廃棄物ダイバージョン率、パッケージのプラスチック回避量――いずれも第三者検証を受けた具体的な数字だ。
「製品の重量あたりリサイクル素材30%」は、環境への評価とは無関係に、調達コストや原料依存リスクの指標として読める。指標を「自社化」することは、外部評価に振り回されず、自社のビジネス目標と直結した測定軸を持つことでもある。
環境投資=コスト削減であることを示す
アップルの最も重要な貢献の一つは、環境対策と技術革新と経営効率が三位一体であることを、具体的な製品と数字で証明し続けていることだろう。
MacBook Neoのアルミ筐体は、従来の機械加工(削り出し)から成形加工(プレス成形)へ移行した。これにより使用するアルミ原料が50%削減された。「環境のため」ではあるが、「材料費の50%削減」でもある。アルマイト処理工程での水70%再利用は、「環境負荷の低減」であると同時に「水道費の削減」だ。
Apple Watch Ultra 3・Series 11の3Dプリント製チタンケースは、航空宇宙グレードの再生チタン粉末を積層することで従来の製法と比べ原料使用量を半減した。2025年の1年間で400トン超のチタン原料を節約している。
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【日本の状況はより複雑】
