佐藤さんの周囲には、30代から70代まで山の知識を持つ「師匠」がいるという。山菜採り、きのこ、保存、雪の中での暮らし。そうした知恵を持つ人たちから学び、自分も将来はその輪の中に入っていきたいと話す。
また、他地域の山の人との交流の中で見えてきたのは、地域による山の違いだ。
「『さかな人』の長谷川大樹さんと一緒に関東の山に登ったんですが、まず長靴から違うんですよ。
山形の山は土が柔らかくて、長靴にスパイクがないと登れないんですが、関東の山は土がさらさらしているからそこまでの装備は必要ないんです。
日本の中だけでも山の自然環境は違っていて、そこに生える山菜も当然変わります。そうした違いを知るためにも、今後は横のつながりも広げていきたいです」(佐藤さん)
日本のレストランの“可能性”
今年の結果は、日本のレストランの可能性が都市の中だけには収まっていないことを示した。
今回は出羽屋のほかに、ヴィラ・アイーダ(和歌山県岩出市)、片折(石川県金沢市)、レスピラシオン(同)、レヴォ(富山県南砺市利賀村)など、大都市圏ではない場所に店を構えるレストランが数多くランクインしている。

現在では料理の「物語性」や「持続可能性」、さらには文化的文脈が強く求められるようになっている。
世界のレストランランキングは、味だけで決められているのではなく、実際には、その時代にどのようなレストランのあり方が評価されるのかを示す指標に近い。
料理の技術や洗練度だけでなく、その料理がどこから生まれているのか、その土地とどれだけ結びついているのかが問われる時代になっている。今回のランキングは、その流れを改めて印象づけるものだった。
