まず、救援列車を特別運行したエティハド・レールについて見てみよう。
エティハド・レールは、UAE政府が整備を進める国内横断鉄道であり、もともとは貨物輸送が主目的だ。硫黄やコンテナなどを輸送する鉄道として構想され、2009年に設立。サウジアラビア国境からアブダビ、ドバイを経て東部港湾のフジャイラに至る。線路の幅は新幹線と同じ国際標準軌の1435mmで、全線非電化だ。
2026年4月時点では貨物列車のみの運行で、2016年に一部区間で運行を開始。現在の路線は2023年に全線開業した。路線網はさらに拡大の計画があり、将来的には湾岸諸国全体を結ぶGCC(湾岸協力理事会)鉄道網の一部となるべく位置づけられている。
旅客列車は26年運行開始予定
旅客列車については、2026年中にアブダビとドバイ、フジャイラを結ぶ11駅の区間で運行を開始する予定で、その後は駅や路線を段階的に拡張する計画だ。車両はスペインのメーカーCAFが設計・製造した、大出力のディーゼル機関車を両端に連結した編成を導入している。最高速度は時速200kmだ。
まだ正式な運行開始日程は発表されておらず、現在は試験走行を行っている段階だが、今回はこの試運転中の旅客列車3本を使い、UAE国民ら350人超をサウジ国境からアブダビへと運ぶなど、航空網がマヒ状態に陥る中で移動手段を失っていた人々を輸送。鉄道による旅客輸送の威力を開業前にいち早く発揮した。
アブダビ首長国当局の発表によると、今回の特別列車運転はエティハド・レールとアブダビの危機管理当局の連携により、試運転の一環として実施した。エティハド・レールのプロジェクト担当者は、今回の旅客列車運行は「どんな状況下でも重要なサービスを維持できるよう設計されたUAEの鉄道ネットワークの対応力と柔軟性を示すものだ」と述べている。
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【サウジには最高時速300kmの高速鉄道】
