近年、アラビア半島ではドバイをはじめ都市部で鉄道の整備が進んだが、エティハド・レールのように都市間を結ぶ鉄道網も伸びつつある。

その代表格は、サウジアラビアの「ハラマイン高速鉄道」である。メッカとメディナという二大巡礼都市を結ぶこの路線は全長約450kmで、2018年に開業。大量の巡礼者を短時間で輸送することを目的として建設された旅客列車専用の高速鉄道で、スペイン・タルゴ製の高速列車が時速300kmで走っている。ほかの鉄道との接続はない独立した路線だ。
一方、アラビア半島の中で広い面積を占めるサウジアラビアにはこれ以外にも鉄道網が存在する。以前から存在する、首都リヤドとペルシャ湾岸のダンマンを結ぶ鉄道、そしてダンマンとヨルダン国境を結ぶ南北鉄道だ。これらの路線は基本的に、貨物・旅客列車の双方を運行している。
「海峡」通らない貨物輸送ルート登場
南北鉄道は、キング・アブドゥルアジズ港といったダンマンの港湾とサウジ北部の鉱山地帯、ヨルダン国境のアル・ハディサを結び、途中からリヤドに延びる支線もある。サウジ北部ではボーキサイトやリン鉱石が採掘されており、この鉄道は鉱物資源を湾岸の港へ運ぶために整備された。
こうした鉱物輸送を前提に整備されてきた鉄道が、いま新たな役割を担い始めている。
サウジアラビア鉄道は3月26日、ペルシャ湾岸のキング・アブドゥルアジズ港、キング・ファハド工業港、ジュベイル商業港と、ヨルダン国境のアル・ハディサを結ぶ貨物列車の運行を開始した。同日は、ラマダン明けの祝祭であるイード・アル=フィトル直後にあたる日でもあった。
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【ホルムズ海峡を経由しない貨物ルート】
