16日の日本市場は株式が上昇、日経平均株価は取引時間中の史上最高値を更新した。米国とイランの停戦期待から企業収益を評価する取引が優勢になっている。円は対ドルで一時上げ幅を拡大、債券は超長期債が下落(金利は上昇)している。
中東紛争収束期待から株式は3日連続高。日経平均は一時1400円超高い5万9500円に乗せ、2月26日に付けた日中最高値(5万9332円43銭)を上回った。東京エレクトロンといった電機が買われ、情報・通信、商社も高い。円相場は日米財務相会談を受けた介入警戒感や有事のドル買い一服から対ドルで買われている。三村淳財務官の発言を受けて上げ幅を拡大する場面があった。

ハイテク株比率が大きい日経平均は東証株価指数(TOPIX)に先行して中東紛争の影響からの回復が進んでいる。原油高止まりによる影響が懸念される中でも、決算発表を前に収益拡大期待が大きい。台湾積体電路製造(TSMC)の午後の決算発表は人工知能(AI)半導体需要の試金石になる。
岩井コスモ証券の林卓郎投資情報センター長は、米国とイランの停戦延長について「一応終結に近づいているのは各国共通の認識だ」と述べた。日米株ともハイテク株に加えて、ここにきて金融や自動車、ソフトウェアといった出遅れ業種に資金流入が広がっているとして「上に向かいやすいという感じだ」と述べた。
株式
東京株式相場は大幅高、米国とイランの停戦期間が延期されるとの期待や企業業績に対する楽観的見方に加え、アジア時間の米株先物堅調からリスク選好の流れが強まっている。
日経平均は、2月27日に付けた終値基準の史上最高値5万8850円27銭を上回っている。
米大型テクノロジー株高も追い風となり、ソフトバンクグループなど情報・通信、電機、非鉄金属株に買いが増加。自動車や商社など景気敏感業種、保険など金融株も高い。米エリオット・インベストメント・マネジメントの出資が明らかになったダイキン工業は急伸。
米S&P500種株価指数や米ナスダック総合指数は15日に最高値を更新。テクノロジー株の影響が大きい日経平均は日中最高値を更新した一方、日本株全体の値動きを示すTOPIXは日中最高値まであと3%程度に迫った。
野村証券の伊藤高志シニア・ストラテジストは、日米株とも成長・業績期待の高いテクノロジー株だけでなく、足元では出遅れ株の再評価気運も出ているとみていた。
為替
外国為替市場で円は対ドルで158円台後半で推移している。
三村財務官は、主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で米ワシントンを訪問した片山財務相に同行して、為替対応を巡って日米の財務官レベルでも緊密に連携することを両国で確認したと明らかにした。これを受けて円相場は158円27銭まで一時上げを拡大した。
みずほ銀行国際為替部為替スポットチームの南英明ディレクターは、三村財務官の発言に市場が反応したとして、「介入へのスタンバイと受け止められた」と述べた。
セントラル短資FX市場業務部の富永貴之部長は、原油の動きをみると停戦や合意を織り込む雰囲気があると指摘。そのため円はやや強含んでいるとみているものの、158円-160円のレンジ内での推移が続き、「この動きはブレークすることなくしばらく続きそうだ」との見方を示した。
債券
債券は超長期債が下落している。長期債や先物は横ばいから小幅上昇に転じている。
米国とイランの停戦の2週間延長への期待から市場はリスク選好に傾きやすく、株式は買われやすい。市場は戦闘終結後を意識する局面に入りつつあり、堅調な米経済を背景に米金利は上昇、日本の金利にも上昇圧力がかかるとみられている。
野村証券の岩下真理エグゼクティブ金利ストラテジストは、株式は楽観的に推移する一方で、債券市場では原油価格が従来の水準まで低下しておらず、周辺諸国もダメージを受けていることから、停戦となってもインフレ上振れリスクは消えず、金利は上昇していると述べた。
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:我妻綾、梅川崇.
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著者:日向貴彦、長谷川敏郎
