「新工場はいくらでも建てればいい。生産能力があるだけエヌビディアが全て引き取る。全量買いだ!」――3月初旬、ジェンスン・フアンはモルガン・スタンレー主催のテクノロジー会議で、王者然とした姿で強気の発言を放った。彼が「全量確保」を狙うその生産能力こそ、世界的な半導体メモリーのチップ不足を引き起こしている主因であるAI向けチップHBM(高帯域幅メモリ)である。
さらに事態を悪化させているのが、世界最大のメモリーチップメーカーであるサムスン電子で労使交渉が決裂したことだ。労働組合は3月9日から10日間の投票を実施し、過去最大規模のストライキ実施の是非を問うている(編集部注:3月18日に投票結果が公表されストライキ計画は承認)。労使交渉がまとまらなければ5月21日から6月7日まで18日間の全面ストに踏み切る構えだ。
メモリー価格高騰、品不足はさらに深刻化
この報道を受け、年初から急騰していたメモリー価格はさらに高騰した。加えて、サムスンの競合であるSKハイニックスやマイクロン・テクノロジー、さらには南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)や華邦電子(ウィンボンド・エレクトロニクス)など、関連メモリー銘柄の株価は軒並み急騰した。それだけではない。このストが現実となれば、HBM不足に端を発するDDR4などのメモリー不足は、短期間で収束する見込みは薄い。
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