評価されない悔しさや、やりがいを感じられない辛さが意識に上らないように、表面的には「別に仕事に期待していない」「これくらいで十分だろう」といって心の奥に押し込めるのです。
こう考えてみると、静かな退職者であっても、心の中では仕事にやりがいを感じたいという欲求があるのではないでしょうか。
周囲のちょっとした声かけで、構えをほどく
では、職場に静かな退職者がいる場合、上司や同僚はどう対応すればよいでしょうか。
まず大切なのは、本人を責めるのではなく、なぜそうなったのかという背景に丁寧に向き合うことです。「何があって今の状態になっているのか」に関心を持つことから始めましょう。
というのも、これまで述べたように静かな退職は本人としても本来苦しい状況であり、決して甘えではないからです。彼らが求めているのは、単に楽をしたいということではなく、自分の価値を認めてもらい、成長を実感できる環境です。
上司は、問い詰めるよりも関心を寄せることを意識してください。「最近やる気ないんじゃないの?」ではなく「最近ちょっと疲れているように見えるけど、何か気になっていることある?」といった具合に、相手の変化に関心を持つことが、防衛的な反応を和らげます。
また本人がかつて発揮していた強みをどんな小さいことでもいいので、思い出して伝えてあげてください。「以前、○○の時すごく丁寧だったよね」や「あの時の○○さんの工夫、今でも印象に残っているよ」という声かけを通じて、本人の自己効力感を高めることが重要です。
周囲の同僚においては、本人を孤立させないことが肝になります。
静かな退職によって受け身の仕事しかしなくなると、そのフォローを周囲が行うことで感情的なわだかまりが生まれやすく、その上で気を遣うなんて嫌だという気持ちもわかります。
ただ、毎日のランチや会社のイベントに気軽に誘ってみるだけでいいのです。「どうせ来ないでしょ」と思っても、誘い続けることが重要です。
防衛機制が働いている場合、本人が自覚していないだけで心の底では行きたいと思っているからです。ただし、参加を強制してはいけません。「来たかったら来てもいいよ」とオープンな態度を示すのです。
こういった働きかけを繰り返すことで、徐々に本人の構えがほどかれていき、前向きな姿勢になっていくはずです。
