「算数障害の支援の目的は、算数の成績を向上させることではありません。大事なのは特性による苦手とうまくつき合っていける方法を身につけさせること。そのためには子ども本人が自分の特性を知らなければ前に進めません。
よかれと思って『がんばれば大丈夫』など曖昧な言葉をかけても、苦しむのは子どもです。障害という言葉にはまだ差別的なニュアンスがあるので使わず、『あなたは計算のこういうところが苦手なんだよ』というような言い方で伝えて、一緒に寄り添う姿勢を見せてあげてください」(熊谷名誉教授)
学校や家庭における具体的な支援として、熊谷名誉教授は次の3つのことを提案する。
2:高いほうの能力を活用して低い能力を補う
3:ゲーム感覚で楽しく学ぶ
家庭で簡単にできる「数の体験」
熊谷名誉教授が痛感しているのは、時代の変化によって子どもたちの生活の中から「数の体験」がどんどん減ってきていることだという。
兄弟の数が減って、一人っ子も増え、兄弟で何かを数えて分け合うことも少なくなった。
買い物では電子決済がほとんどとなり、硬貨や紙幣を数えたり、お釣りを確認したりする作業はなくなった。財布の中にある現金を数えて、どれくらい買えるかを悩むような体験も少なくなっている。
「算数障害の子どもは“数”が持つ意味を理解しづらい。机の上で学習するだけではなく、日常生活と数や量が結びつく体験を重ねることで、その意味を実感できます。保護者は子どもが”数“に注目するような会話を積極的にして、家庭を生きた算数の場にしてください」(熊谷名誉教授)
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【具体的な「数の体験」とは?】
