例えば3月29日の東京都清瀬市の市長選では、共産党系の原田博美氏が当選した。日本共産党の同市議を6期務めた原田氏は、図書館や市役所出張所の削減に反対し、市政の刷新を主張。自民党・公明党・連合東京の推薦を得た現職の渋谷桂司氏を打ち破っている。
また、4月12日の東京都練馬区の区長選では、無所属の吉田健一氏が自民党・国民民主党・都民ファーストの会・東京維新の会が推薦した尾島紘平前都議を3万3029票差で破って初当選を果たした。
吉田氏は2022年の練馬区長選にも出馬し、現職の前川燿男氏に2143票差まで迫った実績がある。一方、練馬区議を1期・都議を3期務めた尾島氏も、小池百合子都知事の側近として知られ、都民ファーストの会幹事長を務めていた。
しかも、練馬区の一部は小池知事が衆院議員時代に地盤とした旧東京10区に重なるため、尾島氏に有利と予想されていた。公明党が自主投票としたことが原因かと思われたが、関係者は「昨年の都議選で公明党候補は3万0140票を取得した。票差から見て影響はない」と語る。
自民党の推薦候補が敗退したのは都内に限らない。浜田靖一元防衛相のおひざ元である千葉県南房総市長選では、石井裕市長の事実上の後継である渡辺秀和氏が自民党推薦の吉田年和元市議らを1582票差で下している。吉田氏には浜田氏のほか、小林鷹之政調会長も出陣式に駆けつけ、高市首相の写真も入れたビラを配布したが、及ばなかった。
「狂乱物価」が引き金となった角栄退陣
こうした事例が増えれば、政権基盤を脅かしかねない。国政選挙と地方の選挙は同一には考えられないが、地方が国を支えているのもまた事実だ。
国政でも、ホルムズ海峡問題が長引けば「何もない」は通用しなくなるだろう。いくら内閣支持率が高くても、政権を維持することもできなくなる。
高市政権と同様に高支持率で始まった田中角栄内閣は、1973年10月の第1次石油ショックに伴う「狂乱物価」で支持率が急落。これに金脈問題の発覚が追い打ちをかけ、退陣を余儀なくされた。
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【田中角栄元首相の教訓を生かせるか】
