インドに100万台規模の工場を次々に立ち上げ、現在の約1.5倍となる「年産400万台」を目指すスズキ。だが、足元ではその大前提となる販売計画にほころびが生じつつある。
現地子会社のマルチ・スズキはインドで約4割のシェアを握り、1983年の進出以来、長年業界をリードしてきた。実際、デリーでもグジャラートでも街の道を走る自動車の2~3台に1台は小型車を得意とするマルチ・スズキの車だ。
ただ、マルチ・スズキ以外の車を見ると、驚くほどSUV(スポーツ用多目的車)が走っているのが目立つ。シェア2位の韓国・現代自動車とその傘下にある起亜(24年度のシェアは両社合計で19.8%)や、3~4位のタタ・モーターズ・パッセンジャーズ・ビークル(同13.2%)、マヒンドラ&マヒンドラ(同12.8%)などの現地勢がSUVやEV(電気自動車)で攻勢をかけているのだ。
「スズキはお父さん世代のブランド」
インドの新車販売に占めるSUV比率は、19年の26.5%から24年は54.7%に急増した。とくにインドで初めて車を購入する20~30代の若い世代の間では、「隣の家のより大きい車が欲しい」という価値観が強く、SUVの需要が高まっているという。
デリーから近郊のマルチ・スズキの販売店でSUV「グランドビターラ」の納車式に来た25歳の男性は、「父親は小型車の『アルト』に14年間乗っていた。でも家族を乗せるには、大きい車のほうがいいよね」と話す。
当初、SUV化の潮流に乗り遅れたマルチ・スズキは22年以降、「ブレッツァ」、「グランドビターラ」、「フロンクス」、「ビクトリス」などのSUVを次々に投入してきた。それでもマルチ・スズキのSUV市場シェアは19.6%と、全体シェアの4割と比べればまだ弱い。
マルチ・スズキ国内営業本部長の竹下毅氏は、「若い人には、スズキはお父さん世代のブランドだと認識されている。いかに若い消費者につないでいくかが課題だ」と危機感を語る。
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【壁の内側で力をつけ始めた地場メーカー】
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