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「会社と恋愛したい」「死ぬ気になりゃなんだってできんだよ」…会社が自己実現と結び付いていた時代のドラマの"異様さ"

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『サラリーマン金太郎』のメインビジュアル
『サラリーマン金太郎』を手がかりに、日本人の労働観の変化を見ていきます(画像:TBSチャンネルより)
  • ドラジ ドラマウォッチャー・批評家
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本宮ひろ志原作の『サラリーマン金太郎』は、1994年から2016年まで週刊ヤングジャンプで連載されたもので、元・暴走族である矢島金太郎のサラリーマンとしての活躍と成長を描いたお仕事モノである。ドラマや映画化も幾度かされていて、1999年に高橋克典主演で放送されたものが最初の実写TVシリーズである。

「恋愛のように仕事し、人生懸けて仕事をする」価値観


『サラリーマン金太郎』ではとにかく仕事第一な矢島金太郎(高橋克典)の姿が繰り返し描かれる。

仕事のためなら土下座もいとわない(画像:TBSチャンネルより)

例えば第3話で、金太郎は会社の上層部にこう直訴する。

「私はこれからヤマト建設(=金太郎が所属する会社)と人生のかなりの時間をかけて関係していくことになります。それは1人の女を選んで人生を共にしていくことと同じくらい重いことのはずです。私は会社と恋愛をしたいと思っています」

Z世代の私からすると文化が違いすぎて遠い目になってしまうのだが、恋愛を仕事の比喩として使えるくらい、パーソナルなものだったんだなと察することができる。

さらに驚くべきは「死ぬ気で働け」というマッチョな姿勢だ。
第9話で金太郎は、飛び降り自殺をしようと試みている中年男性を目撃する。彼は解雇(リストラ)されたことが原因で飛び降りを図ったが、金太郎は何とか止めて説得する。

金太郎:「人生なんてやり直せるよ。どっからだって。(中略)年なんかカンケーねーよ。あんた自分で負け犬になってどうすんだよ。死ぬ気になりゃなんだってできんだよ。あんた今まで死ぬ気になって何かやったことあんのかよ。命懸けてなんかやったことくらいあんだろーよ」
男性:「サラリーマンなんて命を懸けるような仕事じゃないよ」
金太郎:「ふざけんな。俺はサラリーマンに命懸けてんだ。あんた自分の人生負け犬で終わらせんのかよ。それじゃ情けなさすぎるぜ」

何だこれ、こちらがつらくなる説得劇である。仕事を失い、自殺をしようとしている人に対して「死ぬ気になって何かやったことあんのかよ!」とか「俺はサラリーマンに命懸けてんだ」とツッコミ満載のやり取りのようにも見えるが、受け取った当の本人が自殺をやめ、立ち直っていくのだからこれで当時の価値観としては良かったのだろう……。

次ページが続きます:
【「労働」は日本人にとってどのようなものであったのか】

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