ここまで、表のように3つのとらえ方を確認しました。どの側面を重視するかによって違いはありますが、おおよそ現実の左右対立は、このいずれかに関連づけることが可能です。
現代日本で何が「右」とみなされるか
では、現代日本社会では、具体的に何が「右」とみなされているのでしょうか。主要な用法を確認し、先の定義と関連づけてみましょう。
近年、日本の「右傾化」に関する本がいくつも出版されています*2。多くは研究者やジャーナリストらが寄稿した共同執筆によるものですが、各々が考える「右」はまったく同じではなく、かなり幅があります。それでも、主要な用法はいくつかに限定されます。先に述べたように、突き詰めてしまえば「国」と「伝統」に関することがらに集約されます。
一つは「国」に関することです。ほとんどの用法は、単に日本が好きか嫌いかではなく、過去のある時点における日本への強い愛着を表します。とりわけ明治以降、敗戦以前の日本社会を正しいものとみる考え方が「右」とみなされます。具体的には、教育勅語、靖国神社参拝、歴史教科書(侵略戦争、慰安婦問題など)といったトピックをめぐって議論を呼ぶことがあります。
「国」に関することとして、憲法(とくに9条)改正、軍事力強化、領土問題への強い関心なども「右」とみなされることが多いです*3。単に「強い国」を追求する意識のようにも思えますが、そこには、過去の強かった日本への回帰という要素も少なからず含まれています*4。
次ページが続きます:
【「伝統」を維持しようとする姿勢】
