阿波銀行に不正アクセスで情報漏洩、地方銀行が繰り返しサイバー攻撃に遭う"地銀ならではの構造的な課題"

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第3に、地方銀行の業務領域の拡大も見逃せない。近年、地方銀行は金融業務にとどまらず、地域商社、企業支援、人材紹介、不動産事業など多様な役割を担うようになっている。

これは地域経済にとって重要な機能である一方、扱う情報の種類と量を増大させ、セキュリティ管理の複雑性を高める要因となっている。

さらに、内部不正やコンプライアンス違反の問題も依然として存在する。顧客情報の持ち出しや不適切な共有は、技術的対策だけでは防ぎきれない。組織文化、教育、監査体制を含めた包括的な対策が求められる。

地銀ならではの構造的な課題に向き合う必要

では、今後求められる対応は何か。まず、サプライチェーン全体でのセキュリティ強化である。次に、常時監視と迅速な検知体制の構築。そして、情報公開のあり方の見直しである。

多くの企業が「二次被害は確認されていない」と説明するが、それだけで顧客の不安が解消されるわけではない。

本来であれば、継続的な調査と、その時点での結果の公表を行うべきである。特に銀行は地域経済の中核であり、信頼がその基盤である以上、透明性の高い対応が不可欠である。

不正アクセスや情報漏洩は完全に防ぐことは難しい。しかし、被害を最小限に抑え、信頼を維持するための取り組みは可能である。

地方銀行に求められているのは、個別対応ではなく構造的な課題への向き合いである。その姿勢こそが、今後の信頼回復のカギを握る。

東洋経済Tech×サイバーセキュリティでは、サイバー攻撃、セキュリティの最新動向、事業継続を可能にするために必要な情報をお届けしています。
森井 昌克 神戸大学 名誉教授

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もりい まさかつ / Masakatsu Morii

1989年大阪大学大学院工学研究科博士後期課程通信工学専攻修了、工学博士。同年、京都工芸繊維大学助手、愛媛大学助教授を経て、1995年徳島大学工学部教授、2005年から2024年、神戸大学大学院工学研究科教授。情報セキュリティ大学院大学客員教授。近畿大学情報学研究所客員教授サイバーセキュリティ部門長。国立研究開発法人日本医療研究開発機構プログラムスーパーバイザー。情報通信工学、特にサイバーセキュリティ、インターネット、情報理論、暗号理論等の研究、教育に従事。加えて、インターネットの文化的社会的側面についての研究、社会活動にも従事。内閣府等各種政府系委員会の座長、委員を歴任。サプライチェーンサイバーセキュリティコンソーシアム(SC3)運営委員、同中小企業対策WG座長。2018年情報化促進貢献個人表彰経済産業大臣賞受賞。 2019年総務省情報通信功績賞受賞。2020年情報セキュリティ文化賞受賞。2024年総務大臣表彰。電子情報通信学会フェロー。

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