【医師が解説】「疲れやすい」「よく風邪をひく」の原因は〈細胞のエラー〉にあった――"隠れ不調"を防ぐ食事の摂り方

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見落とされがちなのが「吸収のされやすさ」です。

亜鉛は、動物性タンパク質と一緒に摂ると吸収されやすくなります。

一方、ナッツ類や全粒粉のパンなどに含まれるフィチン酸という成分は、亜鉛の吸収を邪魔します。実は、カシューナッツやアーモンドも亜鉛が多く含まれているのですが、フィチン酸の影響で吸収率が低く、亜鉛を摂るという意味からすると、あまりお勧めできません。

植物性食品を中心とした健康的な食事を心がけている方ほど、見かけ上の摂取量が足りていても、実際に体に吸収される亜鉛の量が不足しやすいので注意が必要です。

不足しているぶんをサプリメントで補うという考え方もあります。ただし、サプリメントを利用する場合は、摂りすぎると銅の吸収を妨げるため(銅不足による健康問題が生じる可能性がある)、あくまで「食事で基盤を作り、足りないぶんを補う」という考え方が最も賢明です。

亜鉛不足を客観的に知る方法

どれだけ足りていないのかについては、血液検査などで一度、測ってもらうとより安心です。

日本臨床栄養学会によると、血液中の亜鉛の正常範囲の目安(血清亜鉛の基準値)は、80〜130μg/dLです(ただし一般的な健康測定などの項目には含まれていないため、オプションで追加する必要があります)。

薬を服用している方も注意が必要です。

貧血治療などで鉄剤を大量に服用している場合は、鉄と亜鉛が腸で吸収を奪い合うため、服用のタイミングをずらす工夫が求められます。一部の利尿剤(血圧の薬として処方されることがあります)は、尿中への亜鉛の排出を増やすことがあります。

これらの薬を服用している場合は、かかりつけの医師に亜鉛摂取について一度、聞いてみるといいでしょう。

血液専門医として日々痛感するのは、今日の食事が10年後の血管の状態を静かに、しかし確実に決めていくという事実です。亜鉛のような微量元素の真価は、劇的な即効性にあるのではなく、毎日の継続的な摂取によって積み上げられる「体の土台の丈夫さ」にあります。

「以前より疲れやすくなった」「検査の数値は問題ないのに、なんとなく体の調子がすぐれない」と感じているなら、それは体の中の潤滑油が足りていないサインかもしれません。

今日の食卓に並べる一切れの赤身肉、一片のチーズ——そのわずかな選択が、細胞を守り、血管の傷みを防ぎ、10年後のあなたのパフォーマンスを支える土台になります。

久住 英二 立川パークスクリニック院長

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くすみ えいじ / Eiji Kusumi

1999年新潟大学医学部卒業。内科専門医、血液専門医であり、旅行医学やワクチンに関する造詣が深い。国家公務員共済組合連合会虎の門病院で内科研修ののち、臍帯血移植など血液がんの治療に従事。血液内科医としての経験から感染症やワクチンにも詳しく、常に最新情報を集め、海外での感染症にも詳しい。2024年12月に立川高島屋SC10階に内科、小児科、皮膚科の複合クリニック「立川パークスクリニック」を開業した。

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