【医師が解説】「疲れやすい」「よく風邪をひく」の原因は〈細胞のエラー〉にあった――"隠れ不調"を防ぐ食事の摂り方

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亜鉛不足になると、よく「性機能が低下してED(勃起不全)になる」と言われていますが、体に起こる問題はそれだけではありません。

亜鉛不足によって日常レベルで現れる身近なサインとしては、味覚の異常や免疫力の低下があります。

亜鉛は舌の味を感じる細胞(味蕾:みらい)の新陳代謝や、免疫細胞の成熟に欠かせません。そのため、亜鉛不足になると味を感じるセンターが正常に機能できなくなり、味覚障害が生じるのです。

亜鉛はまた、T細胞などの免疫細胞を活性化させることがわかっています。そのため亜鉛不足になると免疫細胞の働きが弱くなり、細菌性やウイルス性の感染症にかかりやすくなってしまうのです。

「風邪を引きやすく治りにくい」「食事が以前ほどおいしく感じられない」といった症状は、体の深部で亜鉛が枯渇しているサインかもしれません。要注意です。

亜鉛の不足は、単なる体調不良にとどまらず、深刻な病気のリスクともつながっています。

例えば、心臓・血管の病気との関係では、以下のような複数の悪影響が重なり合います。こうした変化が積み重なることで、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。

・血管の壁を作る細胞が異常に増えて血管の内側が狭くなる
・悪玉コレステロールが酸化されて血管壁に蓄積しやすくなる
・血管の細胞が死にやすくなる

糖尿病との関係も見逃せません。

膵臓でインスリン(血糖値を下げるホルモン)が作られ、蓄えられ、放出される過程で、亜鉛は重要な働きを担っています。亜鉛が少なくなるとちゃんとしたインスリンが作られにくくなるため、2型糖尿病にかかりやすくなるということも示されています。

その一方で、糖尿病の方は尿から亜鉛が通常より多く排出されるため、体内の亜鉛が不足しやすいこともわかっています。

さらに言えば、亜鉛にはそれほど強くはないものの血糖を下げる働きもあり、亜鉛を適切に補うことで血糖コントロールが改善したという報告もあります。

何をどれだけ食べればいいのか

具体的な目標量として、日本の「食事摂取基準(2020年版)」では、成人男性で1日11mg、成人女性で8mgの摂取が推奨されています。

食材で換算してみましょう。

亜鉛含有量の筆頭は牡蠣で、大粒2〜3個で1日分をほぼまかなえます。牡蠣は毎日食べるのは難しいですが、日常的な食材では牛赤身肉が優秀な供給源です。牛肩ロース100gには約4〜5mgが含まれるため、200グラム程度で相当の量をカバーできます。

そのほか、豚・鶏のレバー、プロセスチーズ、高野豆腐なども選択肢になります。

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