【医師が解説】「疲れやすい」「よく風邪をひく」の原因は〈細胞のエラー〉にあった――"隠れ不調"を防ぐ食事の摂り方
とくに筆者が問題視しているのが、亜鉛欠乏です。
亜鉛は、私たちの体の中で起こる“ほぼすべての化学反応”に関わる必須栄養素です。
体内に存在する酵素(体の化学反応を助けるタンパク質)のうち、300種類以上が反応に亜鉛を必要とします。これらの酵素はエネルギーを作り出したり、タンパク質を分解・合成したり、傷ついた細胞を修復したりと、生きるために欠かせない反応を担っています。
さらに重要なのは、亜鉛が体内のタンパク質の「形」そのものを維持しているという点です。
タンパク質は折り紙のようなもので、正しく折ってこそ折り鶴や箱になります。人体のタンパク質のうち約10%は、正しい立体構造を保つために亜鉛を必要とするとされています。亜鉛が足りなくなると、タンパク質は正しい形を保てなくなり、細胞の中でさまざまなエラーが起きやすくなるのです。
体内に存在する亜鉛の総量は、わずか2〜3gに過ぎません。その大半は骨や筋肉に分布しており、血液中に溶けているのは全体の0.5%にも満たない量です。
しかしこのわずかな量が欠乏するだけで、細胞の分裂が滞り、傷の修復が遅れ、体全体の機能が低下し始めます。精密時計の小さな部品が1つ欠けただけで動かなくなるように、私たちの体は亜鉛という元素に強く依存しているのです。
このほかにも亜鉛には、体のサビ(酸化)を防いで細胞の老化と血管の傷みが加速するのを食い止める役割や、昨今注目されている動脈硬化やさまざまな生活習慣病の根源となる炎症を抑える働き、血管を健康に保つ働きなどがあります。
日本人の亜鉛不足の実態
世界的に見ても亜鉛不足は深刻な課題で、食生活が不安定な地域では摂取不足が報告されています。しかし、飽食の日本であっても、亜鉛不足は起こっています。
厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査」によれば、亜鉛の摂取量は20〜40代の男性や、多くの女性世代で、国が定める推奨量を下回る傾向が示されています。とくに若い女性や一人暮らし世帯での不足が目立ちます。
忙しい30〜50代のビジネスパーソンは、コンビニ食や加工食品、ファストフードに依存しがちです。それがカロリーは足りていても微量元素が極端に少ない「栄養の偏った食事」を招きます。
加工食品やファストフードは、製造過程でミネラルが失われることも少なくありません。コンビニ食はいろいろあるので幅が広く、サラダや惣菜類を食べていれば大丈夫ですが、弁当類を中心にしていると、亜鉛不足に陥るリスクがあります。



















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