アップル創業50年の本質は何か、ジョブズが示した「疑念の階層」とAI時代に貫く"責任あるものづくり"の思想

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これと並行して今後、重要になるのがAI戦略だ。

アップルのAI戦略は、常に疑念の的だった。筆者はこれまでの記事でも書いてきた通り、最も先見の明がある戦略だと思っているが、最近になってようやくアップル関連の噂情報で定評のある米Bloombergの有名記者、マーク・ガーマンも同様のことを言い始めた。

要するにアップルのAI戦略は他社と比べて劣っているのではなく、大きく異なっているという話だ。多くの企業が特定のAI技術をOSに組み込むモデルを採るのに対し、アップルのApple Intelligenceは「適材適所モデル」を選んだ。

現在は高度な問い合わせをChatGPTに外注しているが、次のOS改訂ではGeminiに切り替わるとされている。一方で開発者向けツールではClaudeを採用している。

群雄割拠の生成AI分野で、アップルはどこか1社と心中するつもりはなく、ユーザーの要求を適材適所のAIに割り振る「棟梁」のようなAIを作っている。それでもアップルのAI戦略に疑念をぶつける人は多い。

責任感こそがアップルの違い

AppleがApp Storeでの配布を問題視しているアプリ
AppleがApp Storeでの配布を問題視しているアプリは、起動後にAIが挙動を変えてしまう類のアプリだ(画像:筆者制作)

最近、ソーシャルメディアで話題になったアップルAI戦略への疑念は「アップルがAIで作ったアプリのApp Storeでの配布を禁止」という話題だ。これはセンセーショナルに書かれた記事を中身を読まずにタイトルだけ読んだ人がソーシャルメディアで大騒ぎしただけだ。

実際には、アップルが問題視したのは「AIで作られたこと」ではなく、「アプリの中身が審査後に変わってしまう仕組み」だ。

近年の生成AIを活用したアプリの中には、アプリ内部で新たな機能やコードを生成し、その場で実行できてしまうものが登場している。極端に言えば、「アプリの中で別のアプリを作って動かす」ような構造だ。

例えば、審査時には無害なメモアプリとして提出され、問題なくApp Storeを通過したとする。しかしそのアプリが、公開後にまったく別の振る舞いをしてユーザーのプライバシー情報などを危険に晒す危険性が否定できない。

アップルが問題視しているのは、そのようなアプリの構造だ。AIを使ってアプリ開発をすること自体は自然の流れとして受け止めていて、アップル製開発環境のXcodeにも、Claudeとの連携機能が搭載されている。

アップルと他の多くのIT企業で常に大きな違いとなるのが、こうした「社会的責任感」の意識だ。

他の多くのIT企業は、何か面白そうな技術、有望な技術が出てくると、深く考えずまずは他社よりも先に1番乗りでその技術を使って何かをやることを考える。そうした技術のほとんどは1年も経たずに大きな方向転換になってユーザーが振り回されたり、後から大きな問題を生むことがある。

これに対して、ついに50歳になった大人の企業、アップルは、新しい技術を採用することで中長期でどのような影響があるのかや自社の長期戦略にどう積み重なるのかなど慎重に検討し、議論をし尽くしてからものを作る。

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