アップル創業50年の本質は何か、ジョブズが示した「疑念の階層」とAI時代に貫く"責任あるものづくり"の思想

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このiPodの大成功がなければ、iPhoneもここまでの成功にはならなかったかもしれない。iPodによって、アップルというブランドは、Macというマイナーパソコン好きの人たちだけの閉じたものから世界中の音楽好きにまで一気に広がった。

ただ、そのiPodの記録的な売り上げも2007年のiPhoneの登場で一瞬にして塗り替えられてしまう。その後の2010年のiPadと合わせて、アップルは年間数億台売れる製品という異次元の成功に足を踏み込む。

アップルの主力ビジネスがパソコンでは無くなると見越していたジョブズは2007年に社名を「アップルコンピューター社」から「アップル社」に変更。自ら「デジタル時代のライフスタイルカンパニー」になると宣言しており、今ではこれが老若男女が求めるデジタル時代のブランド企業を形作っている。

iPhoneを発表した講演の最後、ジョブズは「向かうのはパックが行く先であって、それまであった場所ではない」という有名なアイスホッケー選手、ウェイン・グレツキーの言葉を引用した。

2011年、ジョブズはiPad 2とApple Parkの建設を発表し、iPhone 4sの発売を前に逝去したが、今でもアップルの姿勢は変わっていない。

Apple Watchの噂が立ち始めた頃から、世界中の多くの企業が心拍計機能を持ったスマートウォッチを作り始めていたが、アップルはそこにエルメスやナイキとのコラボなどのファッション性を持ち込み、また世界の医療機関と組んでファッション性とスポーツ性、健康管理の3つの側面を持つ独自製品を生み出して誰も真似できないユニークなポジションを作り出した。

AirPodsについても同じで、多種多様なワイヤレスイヤホンの中で、独自のポジションを築き、その上で新たに健康機能やライブ翻訳などの機能を搭載し始めてきている。

ジョブズが、そうだったように現CEOのティム・クックも、常にメディアやユーザーからの疑念に晒されている。新製品が出る度にソーシャルメディアでは「ジョブズだったらこんな製品は作らなかった」が繰り返される。

Apple Vision Proのように、まだ本領を発揮するに至っていない製品もあるが、多くの製品は堅実に成功を続けている。

さて、そんなアップルは、これからどこへ向かうのか。

2007年のiPhone発表会
2007年のiPhone発表会で、アップルは社名をApple Computer社からApple社に変更。デジタル時代のライフスタイルカンパニーになると宣言をした(写真:筆者提供)

「Think different」なAI戦略

アップルのAI機能、Apple Intelligence
アップルのAI機能、Apple Intelligenceはユーザーに個別の生成AIを直接使う代わりに、アップルのコンシェルジュまたは棟梁的なAIが要件を承り、そこから適材適所で他の生成AIに仕事を割り振る設計になっている(写真:筆者提供)

2026年、アップルはiPhone 17eとMacBook Neoを発表した。ハードウェアで一貫してきた姿勢は、できるだけ少ない製品数で幅広い消費者のニーズに応えること。

現在はMac 6モデル、iPhone 5モデル、iPad 4モデルで、コストセンシティブな層から圧倒的パフォーマンスを求める層まで応えている。今年はその幅をさらに両方向に広げる年かもしれない。

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