アップル創業50年の本質は何か、ジョブズが示した「疑念の階層」とAI時代に貫く"責任あるものづくり"の思想

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次に取り組んだのが財政問題で、倒産の危機に直面していたアップルを救うべく、かつての宿敵ビル・ゲイツに自ら電話をかけ、マイクロソフトから1億5000万ドルの投資を引き出した。

交換条件はWindowsがMac OSの著作権を侵害しているとする裁判の取り下げや、マイクロソフト製ブラウザを標準ブラウザとすることなどだったが、マイクロソフトに与えたのを議決権のない株式にしたことで経営権を守りつつ、同時に「マイクロソフトがアップルの未来を信じている」という印象を世間に植えつけつつ、当面の生き残れる財政基盤を築いた。

「ゼロ」で築いた「安定したビジネス」

ジョブズ復帰直後のアップルの製品ラインアップ
ジョブズ復帰直後のアップルの製品ラインアップ。型番の上2桁だけで整理しても15種類。これに通常のMacとPerfoma、さらには3桁目の数字が違うモデルや、構成が違うモデルなど合計50種類近い製品があった(写真:筆者提供)

しかし、例え生き残れたとしても、その後が安定しなければ人々の信頼は得られない。2つ目の階層は「安定したビジネス」、つまり、一時しのぎではなく、持続的に利益を上げ続けられるかだ。

ジョブズはこの疑念の払拭に最も重要なのが「利益の計上」であると確信。当時のアップルは、1社でコンピューター本体だけで50種類以上のモデルを作り、加えてプリンターやディスプレイなどの周辺機器も多数展開していた。「この顧客にはどのモデルがおすすめか」と聞かれても社員自身が明確に答えられない状態であり、それが莫大な開発・製造コストと流通在庫を生む赤字の根本原因でもあった。

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