平井:それで、口を開くと「桃の木に柿の木を接いでも柿はならんよな」みたいなことを言ってしまう(笑)。「このパワーポイント、脊椎の骨が何個か抜けてるじゃん。立てんぞ!」とか。それでまた、言いすぎたと後悔するんです。そこまでわかっていて、でも言ってしまう。
細谷:指導のときはどうしてもね。でも、始めにスイッチを入れる断りを入れるなんて、優しいです。
30代からでも論理は身に付けられる
細谷:実を言うと、私はもともと論理の人間でも、効率の人間でもなかったんです。私の本は全部、その頃の自分のために書いているとも言える。メーカーにいた20代まで、特に学生時代までは丸暗記型というか、「具体と抽象」なんて考えたこともありませんでした。今なら10分の1の時間で終わる仕事を、長々と残業してやっていた気がします。
平井:そこは私と反対です。私は新卒で入ったコンサル会社で、論理を徹底的に叩き込まれました。どちらかと言うと抽象からのスタートですね。最初に入ったコンサルティングファームは当時、1業種1社が基本で、例えば「トヨタの仕事をしたら日産の仕事はしません」がポリシー。これは「業界知識では戦わない、われわれは論理で戦うんです」ということです。
ただ、その環境に飽きて飛び込んだベンチャー企業での経験が強烈でした。論理が通用しない世界のダイナミズムと、論理を通さなきゃいけない世界が共存している。私がコンサルくさくないのは、その頃の経験があるからかもしれません。
細谷:そうでしたか。私はコンサルになったのが30過ぎてからで、それ以前と以後でまったく考え方が違います。裏を返せば、具体と抽象を行き来する思考は30代から十分に身に付けられるということ。私はその実例ですね。
(構成:東雄介)
