Z世代に正論は1ミリも届かない。SNS時代に「共感」を求める世代に、戦争、政治、震災…重い話題を届けるための「意外な入り口」

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求められているのは、自分の心を脅かすような正論より、お互いが安心できるような共感であり、正論はときに「説教ですか?」と身構えられてしまいます。

「面白い」「推せそう」が入り口になる

僕自身、この課題とは長く向き合ってきました。学生時代は、東北沿岸部の現状や、支援活動を紹介する配信番組に携わっていたのですが、東日本大震災の支援活動を伝える際に、単に「大変な状態です」「支援してください」と訴えても、年月とともに視聴者数は減っていきました。

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そこで、当時大きな関心を持たれていた原発問題を「賛成派・反対派の学生によるディベート形式」というエンターテインメントの枠組みで提示したところ、爆発的に視聴者が増えたのです。

小説『プロパガンダゲーム』の中で「就活」「ゲーム」という身近なテーマを入り口に置いたのも、「プロパガンダ」という重い概念を近くに感じてもらうための戦略でした。さらに、キャラクターとして「推せる」人物を登場させることで、話題に共感してもらう工夫も凝らしました。

「面白そう」「推せる」「何か自分にも関係がありそうだ」。まずは、そこが入り口になって、読んでいくうちに戦争や格差など、社会が抱える大切なことが伝わっていく。この順番が大事だと思います。

僕たちは、「重いテーマ」であればあるほど、最初から深刻に、真正面から向き合うべきだと考えがちです。しかし、そうして情報の入り口を閉ざしてしまうと、結果としてそのテーマは社会から孤立してしまいます。

だからこそ、まずは「面白い」と心の壁を溶かしてもらえるように、伝え方を工夫する。それこそが、丹羽先生の思いを次世代につなぐために必要なことだと考えています。

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(構成:泉美木蘭)

根本 聡一郎 作家

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ねもと そういちろう / Soichiro Nemoto

NPO法人メディアージ理事。1990年生まれ。福島県いわき市出身。東北大学文学部(日本思想史研究室)卒業後、Kindleダイレクトパブリッシングで発表した電子書籍『プロパガンダゲーム』がKindle全体ランキングで2位を獲得し、2017年に双葉社より紙書籍化。同書は2022年に舞台化され、2025年に漫画化、TVドラマ化される。著書に『ウィザードグラス』(双葉社)、『宇宙船の落ちた町』(角川春樹事務所)、『人財島』(KADOKAWA)、『詐欺の家 SWINDLER HOUSE』(祥伝社)などがある。

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