「石破叩き→高市応援」一斉転向…再生数に魂を売る理念なき"切り抜き職人"と、ショート動画が招く有権者の盲目
印象的なワンフレーズを切り取り15秒程度に収める「ショート動画」が、政治家に対する親近感の醸成に大きく関わっているという問題もあります。
ショート動画の制作者は、ひとりひとりを個人として顧みられることが少ない存在ですが、詳細に見ていくと、25年には石破自民党を批判し、参政党や国民民主党を応援する動画を作っていた制作者の多くが、26年には高市政権の応援動画を制作するよう変遷していたことがわかります。
選挙ドットコムがYouTube上の政治動画を分析した調査(※)によると、26年衆院選の関連動画総視聴数の8割以上は、「サードパーティー(政党や候補者といった当事者以外の第三者)」による投稿でした。さらに、これらサードパーティーの動画の内容を分析すると、「高市早苗」氏に関連する視聴者数上位100本の動画は、その内容が圧倒的に「ポジティブ」なものに偏っていたのです。
※出典:選挙ドットコムを運営するイチニ株式会社によるプレスリリース(26年2月13日配信)
「切り抜き動画」制作者の多くは、政治的理念はなく収益が目的なので、高市首相が再生数が稼げるとわかったら手のひらを返して自民党の動画を作るようになったのです。
さらに、SNSは政策議論よりも「感情の共有」を得意とします。リウマチを理由に党首討論を欠席した高市氏に対し、本来なら政策実行能力が問われてもおかしくない場面で、「痛そうでかわいそう」「頑張っている」という同情の声が広がりました。
本来はマイナスに働くはずの欠席が、SNSとショート動画というフィルターを通すことで、むしろ共感と同情を呼んだのです。
ショート動画では、ワンフレーズしか紹介されず、前後がどんな話だったのかがわかりませんし、聴衆がどう反応したのかもわかりません。スマートフォンに合わせて縦型になっていますが、僕は、人間の考え方そのものも、スマートフォンの画角に収まる小さいサイズになっているのではないかと思っています。
「高市早苗」と検索すれば、その後、延々と高市氏の動画が流れるアルゴリズムが走るという問題もあります。少し調べただけなのに、アルゴリズムに絡め取られて、1つの道に染め上げられてしまう。人と対面で話している時には起きないことで、極めて危険です。
実感なき反戦を「偽善者」扱いするSNS
SNS上では、「反戦」を語ると「偽善者」扱いを受けることがあります。これは、発言している本人が、戦争を経験していない「当事者性の欠如」を突かれている側面もあると僕は思います。



















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